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みずほフィナンシャルグループのDX推進をリードするのは、長らくCFO(最高財務責任者)を務めた梅宮真氏。CDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)がCFOを兼務するメリットは大きいと梅宮氏は言う。すでに成長の芽も生まれている。企業が持つ特定の経済圏で決済可能な「ハウスコイン」の技術だ。その拡大展開を図りつつ、自らの強みを生かした新しいビジネスの創出も見据えて、さらなる攻勢をかける。同氏にみずほのDX戦略について聞いた。
ライフスタイルの変化、規制緩和、フィンテックの台頭など、金融機関の経営環境は激変の一途。今やDXによる変革は待ったなしです。金融業界におけるDXキーパーソンへのインタビューにより、DX戦略の全体像から、データ活用、CX、カルチャー変革、デジタル人材育成まで、金融DXの最新の事例を取り上げます。
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CDIOとCFOを兼務しスピーディーな意思決定が可能に
――2022年4月に現職に就任されましたが、最初にグループCDIOとしてのミッションについて伺います。
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2015年みずほフィナンシャルグループ 執行役員 財務企画部長に就任。取締役 兼 執行役常務 財務・主計グループ長などを経て、2022年4月より現職。みずほ銀行 副頭取執行役員、みずほ信託銀行副社長執行役員を兼務。
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座右の銘: The buck stops here(ここで責任は止まる。責任の転嫁はしない)。ハリー・トルーマン米大統領(在任1945~53年)の言葉であり、意思決定の大切さとともに、意思決定の数が人を育てることを教えてくれる。
注目する経営者・ビジネスパーソン:リコー コーポレート上席執行役員 CDIO(Chief Digital Innovation Officer) 田中豊人氏。「発想がユニークで、彼の話から触発されて、取り組みの参考にすることもたびたびです」。
梅宮 真氏(以下敬称略) CDIOに着任する前に、実はグループCFOとして5年以上やってきて、会社全体を見てきました。「DXをやらなきゃ駄目だ」ということはみんな頭では理解しているのですが、残念ながら、それを組織横断的に進めていくことが今までできていませんでした。
それぞれの部署では、それぞれ見えている課題を一生懸命変えていこうとやっていたのですが、横の連携が取れていないが故に非効率が生じていました。
例えば、多くの部署でRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して業務の効率化を図ってきましたが、特定の分野に限定された取り組みに終始していました。
また、グループ内にはみずほリサーチ&テクノロジーズやみずほ第一フィナンシャルテクノロジーといった最先端の研究を行う部隊もいるのですが、横の連携が取れていないため、それぞれでスマート農業について取り組んでいるといった具合です。
その連携を強化し、横断的にDXを進めていくというのが私のミッションの1つです。もう1つは、みずほのDX戦略の方向性を打ち出すことです。それまで、みずほとしてDXで何を実現したいのか、指針となるものが共有されていなかったことも課題としてあったため、CDIOに着任して早いタイミングで、役員レベルでしっかり議論しました。
みずほには、例えば大企業の取引先やスタートアップ企業との圧倒的なネットワークという強みがあります。そうした強みを生かした形で社会課題を解決していこうということで方向性を決めました。
――DXをリードするCDIOがCFOを兼務することの効果やメリットについては、どうお考えですか。
梅宮 CFOの立場から全社を見てきたことで、サイロ化していたり、たこつぼ化しているようなところを引っ張り出すことはある程度できたのではないでしょうか。
もう1つ、DXにはお金をはじめリソースが必要です。一人の人間がCDIOとCFOを兼務することで、お金を使う方と締める方の両方をコントロールすることができるので、現場はスピード感を持って物事を進めていけると思います。