小売部門でオフィス職の採用年内凍結
こうして年末に向け人員確保を急ぐアマゾンだが、その一方で、コスト削減も模索している。米ニューヨーク・タイムズは先ごろ、アマゾンが主力の小売事業でオフィス職の採用を年内凍結すると報じた。
アマゾンは20年から22年3月までに倉庫や仕分センターなどの物流拠点を数百カ所新規に開設し、同期間に従業員数を2倍の160万人超に増やした。しかし、その後のEC需要は同社の予測を下回り、物流資源が過剰になった。
カナダのサプライチェーン・物流コンサルティング会社MWPVLインターナショナルによると、アマゾンは今年、発送センターや宅配ステーションなど計60以上の施設について、閉鎖したり新設計画を中止・延期したりしている。
同社は人員調整も進めてきた。新規採用を抑制することで、自然減による人員減少を促している。22年3月末時点で162万2000人だった世界従業員数(期間従業員を除く)は、22年6月末時点で152万3000人となり、3カ月間で10万人近く減少した。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この約10万人はその大半が物流業務に従事する人だった。
22年前半の業績低迷、年末で挽回
アマゾンは10月12日までの2日間、米国やカナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、中国など15カ国(日本は対象外)で「Prime Early Access Sale(プライム・アーリー・アクセス・セール)」と呼ぶ、会員向け大型セールを開催する。同社は毎年夏場に会員向けの年次セール「Prime Day(プライムデー)」を実施しているが、こうして大型セールを年2回開催するのはこれが初めてだ。
22年1~3月期、4~6月期と2四半期連続で赤字だったアマゾンは、このセールが10~12月期の収益を押し上げると期待している。
(参考・関連記事)「アマゾンも採用凍結、主力小売事業・世界規模で | JDIR」