2四半期連続の赤字
ここ最近のアマゾンは、新型コロナ禍時に増やしすぎた物流資源を調整し、コスト削減を進めている。
同社は20年から22年3月までに倉庫や仕分センターなどの物流拠点を数百カ所新規に開設し、同期間に従業員数を2倍の160万人超に増やした。売上高は20~21年に60%以上増加し、利益は3倍近くに増えた。しかし、その後のEC需要は同社の予測を下回り、物流資源が過剰になった。
同社の22年1~3月期の売上高は前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約16兆7800億円)だった。1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準だった。直営EC事業の売上高は511億2900万ドル(約7兆3700億円)と同3%減少。純損益は38億4400万ドル(約5500億円)の赤字で、15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2900億円)の赤字で、2四半期連続で最終赤字となった。
年次採用イベントを見送り
アマゾンは人員調整も進めてきた。新規採用を抑制することで、自然減による人員減少を促している。22年3月末時点で162万2000人だった世界従業員数(期間従業員を除く)は、22年6月末時点で152万3000人となり、3カ月間で10万人近く減少した。
アマゾンは毎年9月に大規模採用イベント「キャリア・デー」を開催しているが、ニューヨーク・タイムズによると、今年は見送ったという。
その一方で、倉庫などの現場で働く従業員の待遇を改善し、人員確保を図っている。22年9月下旬には、米国内の物流施設や配送部門で働く従業員の平均初任給を引き上げると明らかにした。同社は22年10月11~12日に「プライム・アーリー・アクセス・セール」と呼ぶ、プライム会員向けの大型セールを開催する。年末商戦が本格化する前に独自のセールを実施し、消費者を早期に取り込みたい考えだ。
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