2022 年 2 月 28 日、スペインのバルセロナで開催された 2022 Mobile World Congress のNokiaのブース(*本文と直接の関係はありません。写真:ロイター/アフロ)

 スウェーデンの通信機器大手エリクソンと、フィンランドの同業大手ノキアが、ロシアから完全撤退する計画を明らかにした。ロイター通信が8月29日に報じた

 スイスのパソコン周辺機器メーカー、ロジテック・インターナショナルも同日、ロシアでの残りの事業活動を縮小すると発表した(ロイターの記事)。米パソコン大手のデル・テクノロジーズは前日にロシア事業をすべて停止したと明らかにした。

 ロシア軍がウクライナに軍事侵攻して以降、3~4月に西側諸国企業が相次いでロシア事業を停止したが、8月に入ってその第2段階とも言える動きが出ている。単なる事業の一時停止ではなく、ロシアからの完全撤退や事業売却を、より多くの西側企業が進めているという。

エリクソンとノキア、年内撤退

 ロイターによると、エリクソンは2022年8月29日、今後数か月でロシアから徐々に撤退すると表明した。ノキアも22年末までにロシア事業から撤退するとしている。

 これに先立つ22年4月、エリクソンはロシア事業を無期限で停止した。従業員には有給休暇を与えて対処したほか、22年1~3月期には事業停止に伴う資産の減損などの引当金として、9億スウェーデンクローナ(約120億円)を計上した。エリクソンは現在、ロシアに約400人の従業員を抱えるが、事業撤退によって影響を受ける従業員に金銭的支援を行うとしている。

 ノキアは22年4月時点でロシアから完全撤退すると表明していた。今回ノキアの広報担当者は、「年末までにロシア従業員の大半はノキアを去り、すべてのオフィスを明け渡す」と述べた。ノキアはロシアで約2000人の従業員を抱えていた。現在ロシアで行っている事業は、契約や人道上の義務を果たすための重要ネットワークの維持に関連するものに限られるという。

 これにより、エリクソンとノキアから通信機器などの供給を受けている、ロシア通信最大手のMTSやTele2は、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの中国通信機器大手への依存を高めることになると、ロイターは報じている。

主要サーバー供給企業のデルも

 ロイターによると、デルは22年8月中旬にロシアのオフィスを閉鎖し、全事業を停止した。デルはロシアにおける主要なサーバー供給企業。同社もウクライナ侵攻を受けて、他の欧米企業と同様にロシア事業を縮小していた。

 デルはロシア軍がウクライナに侵攻した22年2月、両国で製品販売を停止し、状況を注視しながら次の対応を決めるとしていた。

 今回同社の広報担当者は「我々は2月に、ロシアやベラルーシ、ウクライナのドネツクとルハンシク地域、すでに禁輸措置を取っているクリミアで製品の販売や、サービス、サポートを提供しない方針を固めた」と説明した。

多国籍企業1000社超が事業縮小

 米エール大経営大学院はロシア事業からの撤退を決めた多国籍企業の一覧をウェブサイトで公開している。

 これによると、22年8月30日時点で1000社を超える企業が、国際的な制裁によって法的に要求される必要最小限の措置を超えて、ロシアでの事業を自主的に縮小していると発表した。

 だが一部の企業はロシアでの事業を継続しているとエール大学は指摘している。

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