iPhone以外軒並み減収、要因は部品調達の制約

 アップルは22年4~6月期の決算発表で、スマートフォン「iPhone」を除くハードウエアの売上高が軒並み減少したと報告した。パソコン「Mac」は前年同期比10.4%減、iPadは同2%減、ウエアラブル機器は同7.9%減だった。同社はその理由について、「中国のロックダウン(都市封鎖)の影響で部品調達の制約を受けた」と説明した。

 こうした中、同社は製造分野の地理的な中国依存を低減するため、アジア諸国での生産増強に力を入れている。例えば台湾の鴻海や、緯創資通(ウィストロン)はすでにインド工場を持ち、主にインド国内向けのiPhoneを製造している。アップルは22年4月、現行モデル「iPhone 13」のインド生産を開始したと明らかにした。現在は、輸出向け製品の可能性も含めインドでの生産拡大について複数のサプライヤーと協議している。

ベトナムが注目される理由

 ただ、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、インド政府と中国政府が冷え込んだ関係にあり、中国を拠点とするEMS企業がインドに工場を持つことが困難だと報じている。そのため、アップルと取引のある中国EMSは、ベトナムなど東南アジアの国々に注目している。

 台湾アイザイア・リサーチのアナリスト、エディー・ハン氏は「世界の重要な工場としての中国の役割は困難に直面している」と指摘する。米中貿易摩擦や、中国政府による電力使用制限やゼロコロナといった政策がその要因だという。「こうした状況で、ベトナムはサプライチェーンのエコシステムを徐々に拡大しており、多くの電子機器メーカーにとって理想の目的地になっている」(ハン氏)という。

 日経アジアの調査によると、ベトナム国内に製造拠点を持ち、アップルと取引のあるサプライヤー企業は18年時点で14社だったが、現在は22社以上に増えている。米グーグルや米デル・テクノロジーズ、米アマゾン・ドット・コムなどもベトナムに電子機器の生産施設を構えているという。

 (参考・関連記事)「アップル、iPhoneの製造で脱中国依存を模索 | JDIR