(写真:アップルHPより)

 シンガポールに本部を置く調査会社カナリスが公表したリポートによると、米アップルのスマートフォン「iPhone」の中国出荷台数に急成長が見られている。

中国ロックダウンでスマホ需要減少

 iPhoneの2022年4~6月期における中国向け出荷台数は、前年同期比25%増の990万台に達した。米CNBCによると、これに先立ちスイス金融大手UBSのアナリストもiPhoneの同四半期における中国出荷台数が同約25%増加すると予測していた。

 中国では「ゼロコロナ」政策によって、上海や深セン、北京などの主要都市でロックダウン(都市封鎖)が敷かれた。これにより、サプライチェーン(供給網)や物流網が混乱したほか、消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。22年4~6月期の中国スマホ出荷台数は前年同期比10%減少した。

 だが、カナリスのアナリストによると、アップルのiPhoneはハイエンド(高品質・高価格帯)の範疇に入る製品。ハイエンド市場の需要はレジリエンス(強じん性)があり、アップルはその恩恵を享受できたという。

ロックダウン緩和と「618セール」が寄与

 また中国では先ごろネット通販の販促イベントが開催された。アップルが期間中に行ったマーケティング活動も販売増の重要な要因になったという。

 中国では22年6月初旬に、上海や北京などでロックダウン措置の緩和が始まった。これにより、22年4~6月期におけるiPhoneの販売増は6月に集中した。UBSのアナリストは、22年6月のiPhone販売台数は前年同月の3.3倍に達したと推計している。

 中国では毎年6月18日までの数週間、同国最大級のネット通販セール「618セール」が開催される。アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は、22年7月28日の決算発表でこのイベントについて触れ、「都市の再開に加え、6月18日に最高潮に達するセールが回復につながった」と述べた。

「ロックダウンが敷かれた都市では需要が減少したが、それらの都市では四半期末に近づくにつれて、回復が見られた」(クックCEO)