中国政府が続けている「ゼロコロナ」政策の影響で、個人消費が圧迫され同国のスマートフォン需要が急速に落ち込んでいる。米ウォール・ストリート・ジャーナルが5月27日に報じた。
4月の中国スマホ出荷34%減
中国政府系シンクタンク「中国情報通信研究院」によると、2022年4月の中国スマホ出荷台数は前年同月比34%減の1770万台だった。また、22年1~4月の出荷台数は30%減の約8600万台にとどまった。
米アップルのルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は先の決算発表で、半導体などの供給制約によって22年4~6月期に最大80億ドル(約1兆200億円)の売り上げ機会を逃す可能性があると述べた。中国のスマホメーカー小米(シャオミ)は22年1~3月期のスマホ売上高が、1年前に比べ11%減少したと述べた。小米はその理由として、ゼロコロナ政策による物流の停滞や販売店の閉鎖、部品不足を挙げた。
また、中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は22年5月13日、工場のある上海市で続くロックダウン(都市封鎖)の影響で顧客への納品に遅延が生じていると明らかにした。SMICは、世界のスマホメーカーが22年に生産する台数が業界の事前予測より約2億台減少するとみている。SMICの趙海軍・共同CEO(最高経営責任者)は「そのほとんどが中国のスマホメーカーによるものだ」と話している。
中国の成長減速、世界メーカーに打撃
中国スマホ需要の急速な減少は、世界第2位の経済大国の成長減速と、世界の電子機器メーカーへの打撃の要因になるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。台湾の調査会社トレンドフォースによると、中国市場は世界スマホ出荷台数の約5分の1を占めている。
中国では、ゼロコロナ政策で上海などの産業中心地でロックダウンが敷かれた。これにより、サプライチェーン(供給網)や物流網が混乱したほか、消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。中国の22年4月の小売売上高は前年同月比11%減。2カ月連続の減少で、20年3月以来最大の落ち込み幅だった。