相次ぐ値上げによる家計の負担増や、賃上げ、世界的な物流コストの上昇といった問題が、米アップルの業績に影響を及ぼしそうだと、米CNBCが7月1日に報じた。
iPhone 13、日本で19%値上げ
米労働省が2022年6月10日に発表した同年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が8.6%だった。3月の8.5%をさらに上回り、1981年12月の8.9%に次ぐ40年5カ月ぶりの高い伸びとなった。
こうした中、高価格帯端末であるアップルのスマートフォン「iPhone」の販売が落ち込む可能性があると指摘されている。エコノミストらは「一般的に購買力が低下する際は、消費者は電子機器などの耐久消費財の購入を先延ばしにする傾向がある」と述べている。
アップルは米国でまだiPhoneを値上げしていない。だが世界では定期的に為替変動に合わせて価格調整している。日本でも22年7月1日に、iPhoneを含む主要製品を一斉値上げした。最新機種「iPhone 13」の最も安価な設定の場合の価格は従来税込み9万8800円だったが、19%増の同11万7800円になった。
多くの消費者はiPhoneを2~3年ごとに買い替える。だが、今年は最新モデルに移行せず、景気回復まで待つ消費者が増えそうだとCNBCは報じている。
投資家は、アップルに忠実な顧客層が定期的にアップグレードし続けていると楽観視する。だが、インフレ関連の不況はその考えに疑問を投げかけ、アップルの収益に打撃が及ぶ可能性があるという。
米アライアンス・バーンスタインのシニアリサーチアナリストのトニ・サカーノギー氏は「アップルの収益の大半は製品販売によってもたらされており、それを支えているのは忠実な顧客層だ。だが彼らが不況下で購入を控えれば、収益の流れは安定しなくなる」と指摘している。