写真はアップルのMacBook Air (写真:AP/アフロ)

 米調査会社のIDCが7月11日に公表した最新のパソコン市場リポートによると、2022年4~6月期の世界出荷台数は、前年同期比15.3%減の7130万台だった。

 世界のパソコン出荷台数は21年までの2年間、プラス成長していたが22年はマイナスに転じ、4~6月期で2四半期連続の前年割れとなった。IDCによると、減少幅は予想値を超えた。中国の「ゼロコロナ」政策に伴う厳しい移動・外出制限や、各国でマクロ経済の逆風が続き、供給と物流の両面に悪影響が及んだという。

消費者向けPC、長期的に需要消滅のリスクか

 IDCのリサーチマネジャー、ジテッシュ・ウブラニ氏は、「引き続き、景気後退への懸念が高まっており、セグメント全体の需要は低下している」と指摘する。「パソコンに対する消費者需要は短期的に低下しており、長期的に消滅するリスクがある」とも述べている。「消費者は支出に対しより慎重になっており、普段のコンピューティングデバイスとして、スマートフォンやタブレット端末などの様々な機器を使うことが再び習慣化している」(ウブラニ氏)という。

 一方、法人向けパソコンについては、企業の買い替えサイクルが延びているものの、消費者向けと比較すれば堅調に推移しているという。

 米国市場については、教育向けパソコンの需要がすでに満たされており、このセグメントは飽和状態にある。消費者需要は低迷しており、米パソコン市場は22年7~9月期も2桁減となる可能性が高いとみている。

21年は9年ぶりの高水準

 前述した通り、世界パソコン市場は過去2年間好調に推移してきた。21年の出荷台数は前年比14.8%増の3億4880万台。在宅勤務の広がりなどで活況を呈し、12年以来9年ぶりの高水準となった。

 ただこの好況も21年終盤に陰りが見え始めた。IDCによると、21年10~12月期の出荷台数は前年同期比1%増にとどまった。別の調査会社である米ガートナーは同5%減少したと報告している。

 ガートナーによると、21年10~12月期におけるマイナス成長の大きな要因は米国市場の低迷。同四半期の米国パソコン出荷台数は約2065万台で、前年同期比24.2%減少した。

依然コロナ禍前より高い水準

 これに続く22年1~3月期と同4~6月期もマイナス成長だったが、足元の数値は新型コロナウイルス感染拡大前と比較すると、依然高水準だ。

 前述した通り、22年4~6月期の世界出荷台数は7130万台。新型コロナ禍の影響が出始めた20年4~6月期の7430万台に匹敵する数値だ。また、19年の6510万台、18年の6210万台と比較すると現在の状況はそれほど悪くはないとIDCは指摘する。

 22年4~6月期のメーカー別世界出荷台数は1位から、中国レノボ・グループ、米HP、米デル・テクノロジーズ、台湾・宏碁(エイサー)、米アップル、台湾・華碩電脳(エイスース)の順。これら上位6社のすべてが出荷台数を減らした。HPは前年月比27.6%減と最も落ち込みが激しかった。アップルは同22.5%減だった。アップルの生産台数は4~6月期に減少したが、下半期は増加に転じるとIDCはみている。

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