AIやIoT活用の家電事業を強化

 一方で、アマゾンは、これまで音声認識AI「Alexa(アレクサ)」を中心としたさまざまな家電製品を手がけている。この買収が成立すれば、ルンバはこれらアマゾンの製品群に加わることになると、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどの米メディアは報じている。

 アマゾンは21年9月に同社初の家庭用小型ロボット「Astro(アストロ)」を発表しており、現在これを米国で招待制によって販売している。このほか、家庭内を飛行して家の安全を見守るセキュリティードローン「Ring Always Home Cam」や、壁掛け可能な15.6インチ型スマートディスプレー「Echo Show 15」、スマートサーモスタット(室温調整機)「Amazon Smart Thermostat」、スマートセキュリティーカメラ「Blink Video Doorbell」、子ども向けのビデオ通話端末「Amazon Glow」、スマートオーブンレンジ「Amazon Smart Oven」なども手がけている。

 アマゾンは、世界で知名度を持つルンバを取り込むことで、AIやIoT(Internet of Things)を活用した家電部門の事業強化を狙うようだ。

アマゾンにとって過去4番目の大型買収

 アマゾンにとってアイロボットは過去4番目の大型買収案件となる。アマゾンは17年に米国やカナダ、英国で店舗展開する高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を137億ドル(約1兆8500億円)で買収した。22年3月には、「007」や「ロッキー」などの作品を持つ米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を85億ドル(約1兆1500億円)で買収。

 22年7月には、米国で診療サービスを手がける米ワン・メディカルを、39億ドル(約5300億円)で買収することで合意したと明らかにした。

 (参考・関連記事)「アマゾンの奇妙なハード戦略、過小評価するべからず | JDIR