アマゾンはかつて物流最終拠点から顧客宅までの「ラストマイル配送」を、米UPSや米USPS(米郵政公社)、米フェデックス(FedEx)などの大手に依存していた。しかし近年は、自社管理による物流網の拡大を加速させている。

 15年に始めたAmazon Flexは、現在全米50以上の都市で展開している。登録ドライバーはおおむね1時間当たり18~25ドル(約2300~3200円)の配送料を受け取っている。

 18年には、宅配事業の起業支援プログラム「デリバリー・サービス・パートナー」を始めた。リース車両やユニフォーム、ガソリン、保険などの業務に必要なものを安価に提供し、アマゾン専用の配送業者を増やしている。CNBCによると、アマゾンは米国で現在1000社以上のパートナー企業と契約しており、8万2000人以上のドライバーを抱えている。

 同社はこうして拡大した自社物流網を活用して配送の迅速化を進めている。米国ではプライム会員向け配送の標準を「翌日便」や「即日便」にするための投資も続けている。

小売大手と宅配大手が相次ぎ提携

 CNBCによると、消費者はオンライン小売業者に対し、より迅速な配送を求めるようになっているという。その背景には昨年急増した「超速宅配」サービスがある。

 この市場には「Buyk(バイク)」や「GoPuff(ゴーパフ)」、「JOKR(ジョーカー)」といったスタートアップ企業が参入しており、注文から10~15分で食料品や日用品を配達している。米料理・食料品宅配大手ドアダッシュも21年12月、ニューヨーク市チェルシー地区で超速宅配を開始し、この市場に参入した。

 こうした中、最近は小売大手と宅配代行大手が提携する動きが広がっている。20年8月には米小売最大手のウォルマートが米宅配代行大手のインスタカートと提携しアマゾンへの対抗姿勢を鮮明にした。

 CNBCによると他の小売業者もこの流れに追随している。ドアダッシュや、米料理宅配大手のウーバーテクノロジーズが20年に買収した同業の米ポストメイツ、UPSが21年に買収した宅配スタートアップ企業の米ローディー、米ディスカウントストア大手のターゲットが17年に買収した米食品宅配の米シプトといった企業と相次ぎ提携しているという。