アマゾン ロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 個人の配送ドライバーがショッピングモール内の小売店から商品を預かり、顧客宅に届けるサービスを米アマゾン・ドット・コムが米国内で始めたと、米CNBCブルームバーグ通信が5月20日までに報じた。

個人事業主が集荷と配達

 顧客はアマゾンのEC(電子商取引)サイトで表示される地域のモール内店舗の商品を注文できる。当日中あるいは当日のより早い時間に商品が届くという。

 現在は試験サービスという位置付けで、一部地域のみで提供している。だが、将来通常サービスに移行すれば、ECの巨人は超速配送の対象商品を大幅に増やすことになるとブルームバーグは伝えている。

 「Amazon Flex(アマゾン・フレックス)」と呼ぶ、業務委託プログラムに登録している個人事業主のドライバーが商品の集荷と配達を担当する。

 CNBCによると、ネバダ州ラスベガスにある約18万平方メートル(東京ドーム約4個分)のショッピングモール内の複数店舗の商品が注文できるようになった。ブルームバーグは、アリゾナ州チャンドラーとバージニア州タイソンズの大型ショッピングモールでも試験サービスを行っていると報じている。またCNBCによると、テキサス州ヒューストン南東に位置する都市であるフレンズウッドでも試験しているもようだ。

 アマゾンの広報担当者、ローレン・サマハ氏は「現在は既存出品者のうち、ほんの一握りがプログラムに参加している」と説明している。Amazon Flexのドライバーの業務については「通常通りの業務を行っているが、彼らはアマゾンの宅配ステーションや食品スーパーからではなく、ショッピングモールから商品を受け取っている」と説明。同氏は「これは便利な配送オプションを用いて出品者と顧客をつなぐことができるもう1つの方法」とも述べた。

Amazon Flex、全米50都市超で展開

 アマゾンはかつて物流最終拠点から顧客宅までの「ラストマイル配送を、米UPSや米USPS(米郵政公社)、米フェデックス(FedEx)などの大手に依存していた。しかし近年は、自社管理による物流網の拡大を加速させている。

 同社がAmazon Flexを始めたのは2015年だった。現在同社は全米50以上の都市でこのプログラムを展開している。登録ドライバーはおおむね1時間当たり18~25ドル(約2300~3200円)の配送料を受け取っている。ガソリン代や有料道路料金、車の維持費などはドライバー負担だという。

 このほか18年には、宅配事業の起業支援プログラム「デリバリー・サービス・パートナー」を始めた。リース車両やユニフォーム、ガソリン、保険などの業務に必要なものを安価に提供し、アマゾン専用の配送業者を増やしている。CNBCによると、アマゾンは米国で現在1000社以上のパートナー企業と契約しており、8万2000人以上のドライバーを抱えている。

 同社は自社の物流資源を生かし、競合小売業者向けの物流サービスも展開している。これは「マルチチャネル・フルフィルメント(MCF)」と呼ばれるもので、物流代行サービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」の一環として始めた。小売業者はアマゾンサイトに出品しているかどうかにかかわらず同社の倉庫に商品を預け、発送業務などを委託できる。

コストは上昇の一途

 ただ、アマゾンにかかるコストは上昇の一途をたどっている。22年4月に発表した同年1~3月期決算は最終損益が38億4400万ドル(約4900億円)の赤字。15年1~3月期以来7年ぶりに最終赤字に転落した。主な要因は出資する新興電気自動車(EV)メーカーの株式評価損だが、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比59%減少し、36億6900万ドル(約4700億円)ドルとなった。

 1~3月の営業経費は同13%増の1127億7500万ドル(約14兆3700億円)に膨らんだ。燃料費の上昇で物流コストがかさんでいるほか、賃金も上昇している。

 一方で売上高は同7%増の1164億4400万ドル(約14兆8300億円)。金額は1~3月期として過去最高だったものの、伸び率は過去10年で最も低い水準。アマゾンの幹部はこうした状況について、「現在は物流倉庫の収容力が需要を上回っており、一部地域で人員過剰になっている」などと説明している。