iPhoneは減収を回避

 アップルが7月28日に発表した22年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比1.9%増の829億5900万ドル(約11兆500億円)となり、4~6月期として過去最高を更新した。一方、純利益は、同10.6%減の194億4200万ドル(約2兆5900億円)だった。研究開発費や販売管理費が膨らみ、20年7~9月期以来7四半期ぶりの減益となった。

 地域別の売上高は、米州が前年同期比4.5%増、欧州が同1.8%増、香港と台湾を含む中華圏が1.1%減だった。

 製品別の売上高は、パソコン「Mac」が同10.4%減、タブレット端末「iPad」が同2%減、ウエアラブル機器が7.9%減だった。中国のロックダウンの影響で部品調達の制約を受けた。

 一方で、iPhoneの売上高は同2.8%増、アプリ販売や音楽配信といった「サービス」は同12.1%増加した(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

「アップルは大混乱を免れた企業」

 景気減速への懸念や、インフレ進行、ドル高、サプライチェーンの混乱が続く中、米テクノロジー大手の事業環境には波乱が生じている。

 米ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムは2四半期連続で赤字を計上した。米半導体大手のインテルはパソコン向けなどで苦戦しており、4億5400万ドルの最終赤字と、過去10年超で最大の減収を報告した。

 米マイクロソフトは増収率が12%、増益率が2%にとどまり、市場予想を下回った。クラウドサービスは好調だったものの、ドル高が利益を圧迫した。また、SNS「Facebook(フェイスブック)」を運営する米メタは上場来初の減収を報告した。

 こうした中、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、「iPhoneの売上高は市場予想を上回っており、アップルは大混乱を免れた数少ない企業の1社だ」と報じている。同社のクックCEOも、「為替の影響を除けば、iPhoneが最近の経済動向の影響を受けていることを明確に示すものはない」と自信を示している。

 (参考・関連記事)「インフレがアップルの業績に及ぼす影響 | JDIR