巨大が強み、ますます巨大に
新型コロナの感染拡大をきっかけに、人々の生活と仕事がオンラインに移行し、クラウドサービスへの支出が大幅に増大した。アナリストらによると、クラウド事業はサーバーとそれを収容する施設に巨額の投資が必要となる。こうした経済的要因が、この市場で先行していた3社の優位性をさらに高めたという。
企業が保有するサーバーのネットワークが大きくなればなるほど、その構築と運用にかかる平均コストが下がり、3社に競争優位性を与える。また、クラウド向けの独自半導体やソフトウエアなどの技術を開発する場面においても利点があるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
アマゾンを収益面で支えるAWS
前述したアマゾンのクラウド事業「AWS」の販売・マーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるマット・ガーマン氏は「当社は約15年間、この事業に相当額の投資をしてきた。簡単に追いつけるものではない」とコメントしている。 AWSのクラウドサービスは、もともと自社のEC(電子商取引)向けシステムのために開発されたものだったが、同社は2006年にこれを他の企業に貸し出す事業を始めた。
なお、AWSの22年1~3月期における営業利益は65億1800万ドル(約8800億円)。同社全体の営業利益36億6900万ドル(約4955億円)を上回っている。つまり、他の事業部門の営業損失をAWSが補った。AWSはアマゾンの事業全体を収益面で支えている。
(参考・関連記事)「アマゾンが他社向け物流事業を拡大する理由 | JDIR」