Amazon Web Services(AWS)ロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 世界のクラウドサービス支出額は2022年1~3月期に、前年同期比34%増の530億ドル(約7兆1600億円)に達したと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが米調査会社シナジー・リサーチ・グループの調査を基に7月5日報じた

アマゾン33%、MS22%、グーグル10%

 前年同期比伸び率が34~40%の範囲で推移したのは過去12四半期中11回あった。クラウドサービス市場は活気に満ちており、急速に成長し続けているという。市場シェアが大きい上位3社は、米アマゾン・ドット・コムの「Amazon Web Services(AWS)」、米マイクロソフト(MS)、米グーグルの順だ。

 アマゾンのシェアは前四半期に続き33%だった。アマゾンは前年同期比伸び率が3四半期連続で市場全体の伸び率を上回っている。マイクロソフトのシェアは約2ポイント上昇して22%、グーグルのシェアは約1ポイント上昇の10%だった。3社の合計シェアは65%となり、4年前の52%から拡大した(独調査会社スタティスタの集計)。

 新型コロナ禍はクラウド大手の3社にとって追い風となった。そして、急激なインフレの進行によって経済が新たな局面に向かう中、3社の市場支配力はさらに強固なものになりそうだと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 シナジー・リサーチによると、アマゾン、マイクロソフト、グーグルのクラウド事業はここ数四半期の売上高の伸びが前年同期比30%以上に達し、スタートアップ企業並みのペースで成長している。22年も1年を通してほぼ29%の伸びで推移するとアナリストらはみている。

巨大が強み、ますます巨大に

 新型コロナの感染拡大をきっかけに、人々の生活と仕事がオンラインに移行し、クラウドサービスへの支出が大幅に増大した。アナリストらによると、クラウド事業はサーバーとそれを収容する施設に巨額の投資が必要となる。こうした経済的要因が、この市場で先行していた3社の優位性をさらに高めたという。

 企業が保有するサーバーのネットワークが大きくなればなるほど、その構築と運用にかかる平均コストが下がり、3社に競争優位性を与える。また、クラウド向けの独自半導体やソフトウエアなどの技術を開発する場面においても利点があるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

アマゾンを収益面で支えるAWS

 前述したアマゾンのクラウド事業「AWS」の販売・マーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるマット・ガーマン氏は「当社は約15年間、この事業に相当額の投資をしてきた。簡単に追いつけるものではない」とコメントしている。  AWSのクラウドサービスは、もともと自社のEC(電子商取引)向けシステムのために開発されたものだったが、同社は2006年にこれを他の企業に貸し出す事業を始めた。

 なお、AWSの22年1~3月期における営業利益は65億1800万ドル(約8800億円)。同社全体の営業利益36億6900万ドル(約4955億円)を上回っている。つまり、他の事業部門の営業損失をAWSが補った。AWSはアマゾンの事業全体を収益面で支えている。

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