アマゾンのブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は生産性の損失や、インフレ、物流倉庫の過剰キャパシティーなどにより1~3月期に約60億ドル(約8100億円)の追加費用が発生したと述べた。このうち物流倉庫から発生した追加コストは20億ドル(約2700億円)だった。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは22年上半期に余剰倉庫スペースが原因で発生するコストが100億ドル(約1兆3500億円)に達すると見込んでいる。

倉庫スペースの削減を計画

 ウォール・ストリート・ジャーナルとブルームバーグ通信は22年5月、アマゾンが倉庫スペースの削減を計画していると報じた。

 アマゾンは少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)のスペースをサブリース業者を通じて賃貸しすることを目指している。また賃借物件についてはリース契約の終了、または再交渉を検討しているという。

 アマゾンはニューヨーク州やニュージャージー州、カリフォルニア州、ジョージア州アトランタなどの巨大市場で、必要以上のスペースを持っているという。

 アマゾンの広報担当者は「もはや我々のニーズに合わない施設の財務負担を軽減できるようになる。サブリースは多くの企業が不動産の資産管理に用いる一般的な手法だ」と説明した。

リアル店舗戦略も見直し

 アマゾンは実店舗の縮小も計画している。米CNBCと米ニューヨーク・タイムズは22年3月、米国と英国で、対面式の書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」を含む、計68の小売店を閉鎖すると報じた。CNBCによると、閉鎖対象となるのはAmazon Booksのほか、ECサイトで評価の高い商品を集めた「Amazon 4-star(アマゾン・4スター)」、ショッピングモール内の小規模店「Amazon Pop Up(アマゾン・ポップアップ)」。これら実店舗事業は成長が鈍化しており、アマゾンはリアル店舗戦略の見直しの一環として撤退を決めたという。

 このほか、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは過去2年間で増えすぎた人員の削減も計画している。ジャシーCEOが取り組んでいる余剰資源の削減という新たな経営課題は、ある意味で急速な事業成長よりも難しい面があると同紙は報じている。

 (参考・関連記事)「アマゾンの物流投資が後退、倉庫の余剰空間賃貸しへ | JDIR