SGホールディングス執行役員 IT戦略担当(SGシステム代表取締役社長、佐川急便取締役を兼任)の谷口友彦氏

 佐川急便株式会社を中核とするSGホールディングスグループにおける、ITへの取り組みの歴史は古い。1983年に現在のSGシステムの前身となる佐川コンピューター・システム株式会社を設立し、ITの本格活用が始まった。物流業界のDXをけん引する同グループが、デジタル時代に沿ったDX推進をどのように行い、どんな未来へ向かおうとしているのか。グループのデジタル戦略をリードするSGホールディングス執行役員 IT戦略担当(※)の谷口友彦氏(SGシステム代表取締役社長、佐川急便取締役を兼任)に話を聞いた。(※)2022年1月時点の役職

経営課題をIT・デジタル化にて解決

 SGホールディングスグループのIT・デジタル化の取り組みについて、「SGホールディングスグループでは、経営課題の解決を目的としてIT・デジタル化の取り組みを推進してきました。それは大きく3つのフェーズにわけることができます」と、谷口氏は話す。

 第1フェーズは、「システム化によるサービスレベルの強化」がテーマだった。1985年から2004年にかけて、貨物追跡サービスや代金引換サービスの「eコレクト」など顧客向けのサービスを充実させることで、売上の拡大につながった。しかし、サービスの充実にあたり、複数のベンダーにシステム構築を依頼していたため、多種多様なアーキテクチャ(システムの基本構造や設計、動作原理など)を使用したシステムが乱立し、システムの維持や管理のコストが増大したことから、IT基盤全体を見直す必要が生じた。

 そこで、メインフレームと呼ばれる汎用機で稼働していた基幹システムを、アーキテクチャが統一化された共通プラットフォーム上に移行させたのが第2フェーズだ。2005年から2017年まで10年以上かけて基幹システム及び周辺システムも共通プラットフォーム上に移行したことで、ITコストが35%削減した。また、各システムを共通プラットフォーム上に集約したことで、グループ内のさまざまなデータも一元的に集約された。そのビッグデータを活用することで、データドリブン経営が実現し、収益性の向上にも貢献したのだ。

「2013年に、佐川急便の単価や個数、原価、キャパシティといったデータを活用した、荷物1個当たりの採算管理を行うビッグデータ分析基盤を構築しました。SGホールディングスグループは、ITを活用した経営管理と徹底した採算管理によって、安定的な事業成長を実現しています」と谷口氏は語る。実際、2012年3月期に300億円弱だったSGホールディングスグループの営業利益は、2021年3月期には1000億円を超え、営業利益率も3.4%から7.8%へと向上している。

 また、並行してソフトウエア開発、保守運用も内製化へかじを切った。こうして社内にIT要員が育ったことで、現在強化しているアジャイル開発の素地も出来上がったのだ。そして、2018年から始まった現在の第3フェーズでは、同グループのDX戦略に基づき、「デジタル基盤の進化」「業務の効率化」「サービスの強化」の大きく3つの施策に取り組んでいる。