改革に乗り出したC社社長

 そこで、社長は仕事のやり方を分解し「見える化」して、みんなで仕事ができる体制を作るため、仕事のやり方の改革を決断した。

 社長が仕事のやり方を分析してみたところ、
・少数の設計者に特注品設計が集中するため、こなしきれない
・顧客からの要求を、営業が正しく捉えておらず、設計者との間の手戻りが多い
・営業は、代理店や価格設定などで相談があっても、なかなか管理者に相談できず間違った判断をしていることが多い
・特に新人営業は、商売上や業務上のルールが分からず、右往左往している
など、多くの問題が浮かび上がってきた。

 そこで、仕事の見える化の中に、顧客からの注文をしっかり定義して、設計者とのやりとりをスムーズに行う工夫を組み込んだ。具体的には、クラウドサービス上に営業案件管理システムを構築し、特注品案件を全て登録することにした。その際、特に重視したのは、以下の 3点である。

① 営業は特注品仕様を確実に登録する
 案件管理システム上で、特注品仕様は全てアンケートのような質問方式に展開し、 回答を記入することにした。その際、もし顧客に聞けないことや確認できなかったことがあったら、それも回答結果として記述するようにした。その結果、特注品仕様の情報精度が大幅に向上した。また、営業自身は、自分の実力の範囲で回答できるようになり、記入率が急増した。さらに、不明な項目は、ベテランが営業に引き出し方を指導することで、急速に減少したのである。

② 特注品仕様をもとに設計方針を決める
 従来は、ベテラン設計者が自分で設計業務を行っていた。しかし、特注品仕様を営業が分かりやすい言葉で確実に把握するようになると、ベテラン設計者は、既存品での対応、流用設計、イージーオーダー、特殊設計、などの設計方針を決め、若手にも設計業務をどんどん任せるようになった。これでベテラン設計者の負荷が減り、 原価見積もりに時間を使えるようになったため、原価設定の精度も向上した。

③ Web上に、報連相の仕組みを作った
 案件管理システムでは、営業の各段階で、何を把握し、何を決めるべきかを明確にし、そこでの検討で、営業マンが不安・相談が起きたときに、タイムリーに相談できる仕組みを作った。例えば、新規取引先の取引開設の手続きや、代理店の選択、仕様が明らかにならないときの顧客アプローチなどである。これにより新人営業の育成スピードも上がった。また、このような報連相内容は全て記録されるため、後で記録をもとにマニュアルの改訂も図れるようになった。

 上記をポイントにした新しい仕事の仕組みづくりには約半年かかった。しかし、クラウドサービスによるシステム化を行ったため、システム構築は、2カ月程度で済んだ。