元社員、内部文書をメディアに暴露
メタの事業慣行を巡っては、「利用者への悪影響を認識しながら安全対策を取らず、自社の利益を優先した」とし、立法府や規制当局などが監視を強めている。
21年9月には元社員のフランシス・ホーゲン氏が退職前に集めた内部文書を米議会や米証券取引委員会(SEC)、メディアに暴露。「アルゴリズムを変更しオンライン上の意見対立を助長させたほか、ワクチン忌避を解消させる措置も講じず、インスタグラムが10代女性のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことを認識していた」などと告発した。
これを受け、ウォール・ストリート・ジャーナルは9月半ばから「The Facebook Files(フェイスブック・ファイル)」と題した一連の記事でメタの社内調査結果などを報じていた。
こうした批判に対し、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は「内容を恣意的に抜き出し、当社を誤ったイメージで描こうとする協調的な行為だ」と反論している。一方、21年11月には米オハイオ州の司法長官が、「子供に与える影響について誤った情報を流し世間を欺いた」とし、同社を提訴した。
同社は13歳未満のインスタグラム利用を禁止している。だが今春、この年齢層を対象としたアプリ「インスタグラム・キッズ」の開発計画が表面化した。その後米議員や消費者団体からの批判を受け、9月下旬に同アプリの開発を一時中断すると発表した。
事業責任者、米議会上院で証言へ
前述した通り、インスタグラムの事業責任者を務めるモッセーリ氏は米国時間12月8日に米上院商業委員会の消費者保護小委員会が開く公聴会に出席し証言する。議員らはメタの対策が不十分だと批判しており、厳しく追及する構えだ。今回の新機能発表には、こうした追及をかわす狙いがあるとみられている。
だが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、モッセーリ氏が直面する重圧の軽減にはならないだろうと伝えている。同小委員会メンバーであるマーシャ・ブラックバーン議員は、「メタは自らの過ちから人々の目をそらせようとしている。今回発表した青少年保護機能は、そもそも初めから導入されるべきものだった」と述べている。
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