米ニューヨーク・タイムズ(NY Times)が引用した内部資料のデータによると、同社サービスの日間利用者数は北米以外が9割を占めている。インドでは3億4000万人が同社サービスを利用しており、同国はフェイスブックにとって世界最大の市場となっている。だが、同社は、誤情報対策費用の87%を米国に振り向けている。22の公用語があるインドでは、対策のための資源や専門知識が不足している。同社が世界で直面している誤情報問題はインドでとりわけ顕著に表れているという。

「著名人特別扱い」や「ヘイトスピーチ対策不備」の疑惑も

 フェイスブックを巡っては、「利用者への悪影響を認識しながら安全対策を取らず、自社の利益を優先した」とし、立法府や規制当局などが監視を強めている。

 発端は、フェイスブックで誤情報対策のプロダクトマネジャーを務め、今年5月に退職したフランシス・ホーゲン氏だった。同氏は、退職前に集めた内部文書を米議会や米証券取引委員会(SEC)、ウォール・ストリート・ジャーナルなどに提供してきた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルはこれを基に一連の記事を公開。「インスタグラムが10代女性のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている」といった内容の社内調査結果を報じた。

 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)はこれまで、「当社のサービスにおいては全利用者が対等な立場にあり、投稿ルールは共通だ」と説明していた。だが、同社が一部の著名人を対象に特別扱いの例外を設けているとの疑惑も浮上している。

 同社の幹部は、AI(人工知能)がヘイトスピーチ(憎悪表現)や暴力関連のコンテンツを取り除いていると説明する。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、社員は現在のAIシステムに限界があり、違反コンテンツのうち削除できるものはごく一部に過ぎないと認識しているという。

 ニューヨーク・タイムズの別の記事によると、告発者のホーゲン氏は10月25日に英議会で証言する。同氏は欧州議会にも呼ばれており、11月に開催される公聴会で証言する予定。フェイスブックの事業慣習を巡る疑惑の追及が本格化しそうだ。