ものづくりの現場を変える4つの行動

 私は中堅中小のものづくり企業にIoTなどの研修を行う機会も多いが、そうした中で感じるのは、現場が目先の生産に一生懸命過ぎるのか、IoTやAIなどの課題解決ソリューションを知らなさ過ぎることだ。

〔行動1〕課題解決の手法とソリューションを知る
 ものづくりの現場で新しい製品やサービスの開発に取り組む方法は、実はシンプルだ。現場で発生するさまざまな課題を解決・効率化し、前述のような圧倒的な生産性向上を達成する中で稼働工数を捻出。それにより、新たな製品やサービスを開発するアプローチしかない。

 つまり、課題の解決・効率化をしないことには先に進めないわけだ。そして、そのためには業務的な課題解決手法はもちろんのこと、それを実現するためのさまざまなIT/IoT/AIによる課題解決ソリューションを知り、トライしてみることが必要になる。

 それにもかかわらず実際の現場では、IT/IoT/AIのソリューションを知らないばかりか、業務的な課題解決のPDCAすら取り組めていない/知らないという場合も多い。

〔行動2〕安価にスピーディに実行できるIoTを導入
 既にIoT(Internet of Things)について語られ始めてから10年近くがたとうとしている。大手をはじめとする多くの企業の製造現場では、設備の稼働状況がリアルタイムで収集、分析され、最適化されることも進んできている。

 ところが中小企業に至っては、まだ全然、IoTに手が付いていない企業も多い。IoTソリューションは高価で手が出ないのではないか、とよく聞かれるが、意外にも安価に実施できることがある。何よりもIoTの導入によって得られるチョコ停の抑制や、故障予測などによる設備や人の稼働最適化の効果と対比すれば高価なわけがない。

〔行動3〕「勉強した」ことを実行に移す
 各地を講演で回っていると、そうした改善手法や安価なIoTのソリューションを紹介した際に、「勉強になりました」というコメントが返ってくることが多い。多くの場合、そのようにコメントする方々はその後、その「勉強した」はずのことを実行に移さないことが多い。

 いや、実行に移そうとしない。頭で分かった気になっていても、実行しなければそれは「いい話を聞いた」という自己満足か、「自分はそれくらいだったら知ってたんですよ」という意思表示以外のなにものでもない。ではなぜ実行しないのか、だ。

「人生の大きな目的は、知識ではなく行動である」と筆者の座右の銘であるトーマス・ハクスリーの言葉にあるように、学んだらそれを自ら実行に移すことが必須であろうと、筆者は常に講演のオーディエンスには説いている。

〔行動4〕知って学んで実行する組織にする
 特に、労働力が減りゆく現在においては、学んだことを組織として実行する方向へスピーディに展開することが強く求められる。そこまで取り組んでこそ、学んだことが生きるというものだ。

 このように製造業には課題が山積みであるにもかかわらず、対策を知らないということも非常に多く、また学んでも実行に移さない/移せないといった事象も多く散見される。

 まずは、その改善を行うことが不可欠だが、実はものづくり産業には、ここで挙げた解決策を阻害する根深い問題が横たわっている。次回はその解決策と、ものづくり産業の将来像について解説する。