ミスミグループ本社は1963年の創業以来、製造業に向けた機械部品の製造販売を行っている。1977年、業界に先駆けて機械部品のカタログ販売を開始するなどイノベーションを起こしてきた。同社は現在、全世界に約33万社という顧客数を誇る。

 そんな同社が今、製造業界に向けて発信するのが、DXによる労働生産性の改革を実現する「meviy(メヴィー)」だ。製造業における労働生産性の改革は長年の課題といわれてきたが、「meviy」はどのように顧客の労働生産性を向上させるのか。同社常務執行役員 ID企業体社長の吉田光伸氏が話す。
ID(Industrial Digital Manufacturing)

※本コンテンツは、2021年9月15日に開催されたJBpress主催「第3回 ものづくりイノベーション」の特別講演Ⅰ「製造業×DX ミスミが仕掛ける労働生産性改革 meviy(メヴィー)」の内容を採録したものです。

日本の製造業の労働生産性に見られる課題

 日本のGDPに占める製造業の割合は2割を超えており、国を支える重要な産業と言える。また、世界シェア60%以上を誇る、日本企業の製品・部材の数は、アメリカの2倍、中国の5倍になり、改めて日本製造業の国際競争力が非常に高いことが分かる。しかし、ミスミグループ本社の吉田氏は「一方で、日本の製造業の労働生産性は下落の一途をたどっている」と話す。

「世界の製造業の労働生産性上位15カ国の変遷チャートによると、1995年、2000年の日本の製造業の労働生産性は1位でしたが、2005年9位、2010年11位と下落し、直近の2018年は15位にすら入っていません。直近の労働生産性はOECD加盟国の中でも、半分より下位にいます」(企業財団法人日本生産性本部の資料に基づく)

 その上、日本の製造業ひいては日本全体の産業が抱える経営課題として、生産年齢人口の減少がある。2020年4月以降は、中小企業にも月当たり45時間以上の残業を原則禁止する規制がスタートした。

「これまでなんとか残業で業務をこなしていたような現場では、それがままならなくなりました。これら人手不足、時間不足という課題は、製造業にとって大きな足かせになっています」

 人口減少と働き方改革やワークライフバランスの潮流により、日本製造業の総労働時間(すなわち、戦うための時間)は、減り続けていく。そうした中で、いかに生産性や効率を上げていくのか。「改善レベルでは間に合わない。改革レベルによる転換が、これからの製造業の生存要件になってくる」と吉田氏は話す。