表層的なPDCAに陥らないように

 長くコンサルティングをしてきた経験から、同じPDCAを回すといっても表層的な人と奥深い人がいることに気付いた。

 表層的な人は、Plan(計画)に時間を費やすことをせず、Period(節目納期)を定めているだけにとどまっている。「今月末までに終えてね」というのはPlanとはいえない。

 また、表層的な人はCheck(点検)の手間を省きたがる。Check(点検)とはまさにプロジェクト現場に対して関心を持っている具体的な行動であるはずだが、「問題があったら、現場から何か言ってくるだろう」という受け身で無関心(Careless)という姿勢ではいけない。

 そして、普段は無関心なのに、いざ問題が起こると怒る(Angry)。メンバーは怒られたくないのでますます悪い知らせを伝えるのを避けるという悪循環に陥りがちだ。表層的なPDCAは、悪循環を生み出しかねない。

 一方、奥深い人はPlan(計画)についても深い。リソースを鑑みたできる計画を立てるだけなく、もし、何かリスクが起きたときに迷わず行動できるように、仕事の優先順位(Priority)を明確にしている。仕事の優先順位が明確になっているということは担当者にとってはとても心強い。

 また、奥深い人はCheck(点検)して問題やリスクの兆しを知ったときに、その原因・真因まで洞察検討(Consider)する。真因を見いだして、それに手を打って同じ原因での問題やリスクの再発を防ぐようにしている。

 加えて、それを担当者と一緒に考える姿勢を持ち、指示ではなくアドバイス(Advice)をしている。担当者からすれば、親身になって一緒に考えてくれてアイデアをもらえることがとても心強く思える。つまり、奥深いPDCAは相互に信頼を強くする善循環を育むといえる。

コンサルタント 塚松一也 (つかまつ かずや)

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント

イノベーションの支援、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとしてじっくりと変革を促すコンサルティングスタイル。
ていねいな説明、わかりやすい資料をこころがけている。
幅広い業界での支援実績多数。