芝大門店では「前払い」を「後払い」に変更

 芝大門店は約20坪で27席。元カレーチェーン店の物件の店舗造作を生かし、厨房設備やエアコンを入れ替えた。場所は通称“軍艦ビル”のはす向かい。周辺はオフィス街でランチを中心とした需要が見込まれる立地だ。

 早速、筆者が義元氏に取材をしたところ、義元氏は「芝大門店はDXの実験店」と述べた。大きな特徴は非接触の要素を多くしたこと。以下、お客が同店に入店してからのサービスの仕組みを箇条書きで記す。

店頭に置かれた自動受付機。ここでチェックすると、自分の前にどれくらいのウエーティンがあるか分かる

①入店前に「自動受付機」に人数などを入力する(すると、番号が記された紙がプリントアウトされ、自分の前に何人がウエーティングしているかが分かる。また、QRコードを読み取ると、入店の順番になったときに、それをLINEで教えてくれる)
②入店できるようになると、従業員から番号で呼ばれる(もしくはLINEで知らせてくれる)。
③従業員に誘導され席に着いたら、「タッチパネル」でオーダーする(ステーキの種類。食べ放題のサラダ、スープ、ご飯を注文する)
④注文した料理が従業員により運ばれてくる。
⑤食後にタッチパネルで会計をすると、従業員がレシートを持ってくる。
⑥レシートを持って「セルフレジ」で精算する。

芝大門店の店内。タッチパネルの活用でお客はゆったりした気分で食事ができるが、店内は小気味よく回転していく

 これに対して、やっぱりステーキの一般的な既存店では次のような仕組みである。
①入店すると「自動券売機」の画面をタッチ。希望の料理やドリンクなどを選び、精算を行い、食券を入手する。
②従業員に誘導され席へ着いたら、従業員に食券を手渡す。
③席を立って、食べ放題のご飯、サラダ、スープをコーナーに取りに行く。
④注文したステーキが従業員により運ばれてくる。
⑤食事を終えたら、そのまま店を後にする。

 やっぱりステーキでは新規出店のたびに、例えばセルフレジや配膳ロボットを導入するなど、デジタル化の要素を少しずつ加えていったが、芝大門店ではさらに改善が加えられた集大成となっている。

 芝大門店のサービスの仕組み(上)を既存店のもの(下)と比べると、その違いは「注文」と「精算」にあることが分かる。

 注文は、既存店では「自動券売機」で行い、芝大門店では「タッチパネル」で行う。自動券売機を使う場合は入店時に精算する前払い。画面を見ながら「どのステーキにしようか?」と思案しているときに、後ろに人に並ばれるとせかされているような気分になり、落ち着いて考えられなくなるのが一般的な人の情ではないか。この場合の客単価は1300円とのこと。

タッチパネルの様子。メニューは基本「1000円ステーキ」で部位やグラム数で価格が変わる

 それがタッチパネルの芝大門店では、精算は後払い。席に通されてタッチパネルを操作しながらゆっくりとステーキを選ぶことができる(芝大門店ではタッチパネルに後述するオリジナルチャンネルの効果で、客単価が高まると想定している)

芝大門店では「後払い」を採用、精算はセルフレジでお客が行う

 さらに「サラダ、スープ、ご飯」の食べ放題の部分で、芝大門店ではお客が席を立つ必要がない。既存店と比べると、食べ放題にお客が集まるという「蜜」はなくなり、狭いフロアをお客が行き交うということがない。安全・安心な食空間が担保され、ゆったりと食事を楽しむことができる。

ステーキは赤身肉が中心。オープン記念として「熟成アメリカンステーキ」200g1500円が導入された