フォートナイトのアプリ画面(写真:Alamy/アフロ)
米アップルのアプリ配信サービス「App Store」を巡り、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが反トラスト法(独占禁止法)違反でアップルを訴えていた裁判で、米連邦地裁による一審判決が2021年9月10日に下った。結果は双方ともに一部分で敗北を言い渡され「痛み分け」となった。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどの海外メディアが報じた。
エピック側は「App Storeによる市場独占」の認定を裁判所に求めていたが、連邦地裁のイボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ判事はこれを認めなかった。一方で「アプリ開発者が利用者をアプリ外決済システムに誘導すること」をアップルが禁止している行為はカリフォルニア州の不当競争法(UCL)に違反するとし、90日以内に米国全土で撤廃するよう命じた。
地裁判事「反トラスト法違反を証明できない」
ロジャーズ判事はアップルが開発者に義務付けている規約の多くを容認した。アップルは自社の決済システムを介して開発者から15~30%の課金手数料を徴収しているが、このビジネスモデルも容認した。これを受けアップルは「当社にとって大きな勝利だ。経済と競争促進の両面において当社事業のメリットが明確に示された」とコメントした。
英フィナンシャル・タイムズなどによると、エピック側は市場独占の認定に加え、「アップルが関与することのないアプリ配信サービスや課金の仕組み」を求めていた。だが、ロジャーズ判事は争点となる市場を「モバイルゲーム」に限定。同市場におけるアップルのシェアは50%台程度にとどまるとした。そのうえで「アップルは高い利益率の恩恵を受けているものの、これらの要素だけで反トラスト法違反を証明することはできない。成功は違法ではない」と結論付けた。
エピック、控訴方針表明
これに先立つ20年8月、エピックは手数料が法外だとし、アップルの課金を回避するため独自決済システムへのリンクをアプリ内に設けた。アップルはこれが規約違反にあたるとしフォートナイトを配信停止にする措置を取った。その直後にエピックがアップルを提訴。アップルは20年9月にエピックを反訴した。
エピックは今後、規約違反によって生じた損害の賠償をアップルに支払う必要がある。ただ、エピックは21年9月12日に一審判決を不服として控訴する方針を示した。
「長年閉じていたApp Storeに水漏れの穴」
21年9月1日、アップルは、App Storeを調査していた日本の公正取引委員会との和解に伴い、規約の一部を改定すると明らかにした。雑誌や新聞、書籍、音楽、動画といった購入済みのデジタルコンテンツやサブスクリプション(継続課金)コンテンツを閲覧・視聴する「リーダーアプリ」を対象に、開発者が自社ウェブサイトへのリンクを1つ設置することを認めるとした。開発者はこのリンクから自社サイトに利用者を誘導できるようになる。ただ、アップルがこの時定義したリーダーアプリにゲームは含まれていない。
今回のロジャーズ判事の判決は、ゲームについてもリンク設置の容認を命じる踏み込んだ内容となった。今後、ゲームアプリの利用者は外部決済システムを利用しやすくなる。これについてウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事は、「長年閉じていたアップルのプラットフォームに水漏れの穴が空いた」と報じた。
アップルのサービス事業にとって貴重なゲーム分野でも手数料支払いの回避が容易になるからだ。ロジャーズ判事によると、App Storeの売上高全体に占めるゲームアプリの比率は70%に上るが、ゲームアプリの数は全体の10%にすぎないという。
アップルは今回の判決について控訴するかどうか明らかにしていない。このまま命令に従えば、ゲームからの課金手数料収入が減ることになり、App Storeの事業が打撃を受けることになる。ウォール・ストリート・ジャーナルは、スマートフォン「iPhone」などの売り上げに周期的な偏りが生じるビジネスモデルからの脱却を図るため、同社は事業の多角化に力を入れている。その重要な役割を担うのがApp Storeなどのサービス事業だという。
(参考・関連記事)「韓国の新法巡るアプリ開発者のジレンマ | JDIR」






