設備生産性管理の実態

 設備生産性(特に時間稼動率)を低下させるのは主として故障停止時間、段取り停止時間であり、ほぼ日本と共通の課題である。その実態について、日本との違いを整理する。

【故障停止時間】
 日本と大きく異なるのは、故障が発生してから復旧するまでの時間が長くなってしまうということだ。複雑な設備になればなるほど、現地で保守ができないことが多いようである。そのため、日本から技術者が出張する、あるいは日本国内のメーカーに修理保守を依頼するなど、復旧に数週間かかってしまうケースに出会うことも珍しくない。

 また、故障原因も防げたはずの劣化によるものが多いように思う。日頃から保全を行っていれば気が付けるような微欠陥が放置されていることで、大きな故障停止が起こるのである。

 ただ実際には、さまざまな固有の事情があり、それらを解決していく必要がある。 そのためにも、現場と管理者のコミュニケーションを強化しながら、些細な予兆に気付く必要がある。

【段取り停止時間】
 1回当たりの段取り時間を短くするという取り組みが不足している現場が多いように感じる。段取り停止回数を減らすために、生産順序を変更し、高い時間稼動率を実現している現場もある(これについては勝手な変更を許すマネジメントにも問題があるため、一概によいとはいえない)

 本来は、生産順序の変更に先立って、1回当たりの段取り時間を短くすることを優先して取り組むべきである。段取り時間を短縮するには、外段取り作業を明確にして同時並行的に作業をしなければならないことが多く、結果として作業方法が複雑になるケースがある。

 この複雑な作業をしっかりと教え込む必要があるが、一足飛びに理解させようとせず、まずは段取り改善の基本手順を押さえつつ改善を検討していくようにしたいものだ。段取り改善については、その手順や範囲を明確にすれば、比較的早期に取り組める課題だと思う。