ランデブーロボディクスが構想する自律式パネル組立システムⒸRendezvous Robotics
生成AIの普及でデータセンターの電力消費が急増している。オープンAIの施設だけで東京都の年間消費電力に匹敵し、システム冷却に必要な水量も世界の淡水の数%に達する見込みだ。この課題を解決する手段として、宇宙空間に「軌道上データセンター」を構築する構想が現実味を帯びてきた。
イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏らが相次いで参入を表明し、すでに実証試験機の打ち上げも始まっている。太陽光で24時間発電し、冷却コストもほぼゼロ──。SF的な未来インフラが、AIネットワークを支える現実的な選択肢として動き出している。
生成AIの利用によって問題視される莫大な消費電力と冷却水
生成AIの普及に伴い、既存のデータセンターは逼迫(ひっぱく)した状態にある。そのためIT企業では現在、AIデータセンターの拡張や新設を急いでいる。
メタのマーク・ザッカーバーグCEOは、「ルイジアナ州に新設するセンターは、マンハッタンをカバーするほど広大になる」と語り、その建設に100億ドル(1兆5500億円、1ドル155円換算)を投資する。オープンAIとソフトバンクなどによる「スターゲートプロジェクト」では、米国内の5カ所にAIデータセンターを新設し、2025年からの4年間で総額5000億ドル(77兆5000億円)を投資する予定だ。
こうしたAIデータセンターでは莫大な電力が必要となる。一般的なデータセンターの消費電力(瞬間最大)が5~10メガワットであるのに対し、典型的なAIデータセンターでは100メガワットに及ぶ。メタのルイジアナ州の施設では、2030年までにその20倍の2ギガワット規模を目指し、その数年後には5ギガワットまで拡張するという。






