21年7月には、消費者が負傷・死亡する深刻なリスクのある製品をリコールする法的責任はアマゾンにあるとして、米消費者製品安全委員会(CPSC)が同社を提訴した。CPSCによると、作動しない一酸化炭素検知器が2万4000台、感電防止構造を持たないヘアードライヤーが40万台、着火する恐れがある子ども用パジャマが多数アマゾンのマーケットプレイスで販売された。

 CPSCは、アマゾンが「消費者製品安全法(CPSA)」に基づく「販売業者」であり、単なるプラットフォーム運営業者ではないとする司法判断を求めている。

 ロイターによると、アマゾンはこれに対し、すでに取っている対策と「ほぼ完全に重複する」ことを強いる訴えをなぜ起こしたのか「不明確」だと反論。問題のある製品の大半をすでに削除し、顧客には全額返金したと説明している。

アマゾンに法的責任問えるのか

 英フィナンシャル・タイムズによると、欠陥のある中国製リモコンの電池を幼児が飲み込み重傷を負ったとして、アマゾンを訴えた米テキサス州の裁判では、同社に責任はないとの判断が下された。

 一方で、米カリフォルニア州で消費者が訴えた2つの裁判では、いずれもアマゾンに責任を問うことができるとする判決が下された。1件は、中国製パソコンバッテリーの欠陥で大やけどを負ったもの、もう1件は自動巻き式犬用リードが切れて、買い主が片目を失明したというものだった。

 アマゾンの電子商取引(EC)における流通総額(GMV)のうち、出品者の流通額は約6割を占める。米CNBCによると、アマゾンは現在、世界十数カ国でマーケットプレイスを運営しており、21年3月時点の参加企業は600万社以上。うち半分以上を北米が占めている。各国マーケットプレイスの中で米国が最大規模。だが、そこには、製品安全不適合品や期限切れ商品、偽造・模倣品が数多くあると指摘されている。

 (参考・関連記事)「アマゾン、対策強化も一向に減らない偽造・模倣品 | JBpress