アマゾン ロゴイメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが返品や売れ残り商品の廃棄を減らす取り組みを強化している。これまで出品者は、こうした商品について、自社で過剰在庫を抱えたり、アマゾンに依頼して慈善団体に寄付したりしてきた。アマゾンは2021年8月4日、顧客から返品された商品などを出品者が再活用できるプログラムを発表した

返品を中古品として販売

 同社は、出店者の商品の保管と配送などを代行するサービス「Fulfillment by Amazon(FBA)」を提供している。このサービスの一環として新たに「FBAグレード&リセル(評価・再版)」「FBAリクイデーション(現金化)」と呼ぶ2つのプログラムを始めた。

 「FBA評価・再版」は返品を中古品としてアマゾンのサイトで再び販売できる仕組み。これを利用すると返品は自動的にアマゾンの倉庫に送られる。アマゾンが商品の状態を「新品同様」「優良」「良」「販売可能」に分類し、業者が評価に基づき中古価格を設定。アマゾンの電子商取引サイトで販売する。すでに英国で始めており、21年内に米国でも開始。22年初頭にドイツやフランス、イタリア、スペインにも広げるとしている。

 「FBAリクイデーション(現金化)」は、返品や過剰在庫を一括して、アマゾンが提携する在庫買取業者に販売するというもの。「これにより出品者は在庫コストの一部を回収することができる」とアマゾンは説明している。こちらは、すでに米国やドイツ、フランス、イタリア、スペインで始めており、8月中に英国で開始する予定だ。

大量廃棄への批判かわす狙い

 アマゾンは19年に在庫処分対象の商品を慈善団体に寄付する取り組みを拡大した。同社はそれまで自社で仕入れた商品の売れ残りや返品を米国や英国の慈善団体に寄付していたが、同年に「FBAドネーション」を開始。出品者も同寄付プログラムに参加できるようにした。

 同社によると、これまでにFBAドネーションを通じて家電製品や学用品、子供用品、衣服など6700万点以上の商品を慈善団体に寄付した。

 ただ、こうした取り組みは、アマゾンにおける大量廃棄処分問題への批判をかわす狙いがあると指摘されている。アマゾンが19年にFBAドネーションを発表した際も、英国とフランスの物流施設で売れ残りを日常的に廃棄していると報じられた。

 21年6月には、「アマゾンが英国の物流施設で毎年、数百万点の売れ残り商品を廃棄処分している」と英メディアのITVニュースが報じた。テレビやノートパソコン、ドローン、ヘアドライヤー、高級ヘッドホン、大量の書籍や未使用のマスクなどが「廃棄」と書かれた箱に詰め込まれているという。

「返品は小売業者にとって避けて通れない問題」

 これに対しアマゾンは、「廃棄商品ゼロを目指し、取り組みを進めている。現在は埋め立て処分していない」と否定している。

 アマゾンは今回の声明で「顧客からの返品はすべての小売業者にとって避けて通れない現実で、これにどう対処するかは業界全体の課題」と述べており、消費者の意識改革も必要と言えそうだ。

 アマゾンは「(新たなプログラムが)循環型経済への転換や、地球に対する影響の軽減に役立てばよいと思う。出品者のコスト削減や事業成長にも寄与したい」とも述べている。

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