米グーグルの持ち株会社である米アルファベットや米アマゾン・ドット・コムなどの米テクノロジー大手7社が米証券取引委員会(SEC)に共同で書簡を送り、企業の気候変動対策に関する定期的な情報開示を義務付けるよう求めた。米CNBCなどが6月14日に報じた。
「気候変動問題は喫緊の課題、対策の情報開示は重要」
米フェイスブック(FB)や米インテル、米セールスフォース・ドット・コム、米オートデスク、米イーベイを含む7社はゲーリー・ゲンスラーSEC委員長宛ての書簡で「気候変動問題は喫緊の課題であり、対策の情報開示は各企業による公約の実行を確実なものにしたり、総合的な進捗状況を追跡したりするために重要だ」と述べた。
これに先立つ2021年3月15日、SECのアリソン・リー委員長代行はESG(環境・社会・企業統治)対策に関する開示ルールを見直すと発表した。SECは2010年に対策情報の開示指針を設けた。だが最近は気候変動のリスクや影響といった、投資家が求める情報が著しく増えており、時代に合わせて改訂する必要があると判断。90日以内に専門家などから広く意見を募集するとしていた。
その内容は、国際的な規制団体の既存の基準を取り入れるべきか、新たな基準を導入すべきか、企業は投資家に向けていつどのような形で情報開示すべきか、といったものだった。
今回、テクノロジー大手はその締め切りに間に合うよう6月11日に書簡を送付。その中で、「温室効果ガス排出量などの数値は、国際的な規制団体の既存の枠組みに準じて測定し、一貫性があり比較可能なものにすべきだ」と指摘。
また、「情報の性質上、推定・仮定値に依存するところが多い」とし、「内容に不確実性があるため、年や四半期ごとの提出書類と分離し、企業に過度の責任やリスクを負わせないよう配慮すべきだ」と提言した。
7社は、これまでに計21ギガワット(2100万キロワット)以上のクリーンエネルギーを購入したという。各社それぞれ100%再生可能エネルギーを調達する目標を掲げている。合計で約170万人の雇用を創出する7社の取り組みは大きな影響力を持つと説明した。
背景にはESG投資への関心の高まり
つまり、環境配慮型事業運営などに注目して銘柄を選ぶESG投資に関心が高まる中、投資家から求められる情報の内容や開示方法、タイミングなどが変化している。SECはそれらに対応するためルールを見直す。
ただ、テクノロジー大手にとって新ルールが経営リスクにつながるようなことは避けたい。自社のこれまでの環境への取り組みを公平・正当に評価してもらいたいとの思いもあるようだ。
では、各社はこれまでどのような取り組みを実施してきたのか。以下ざっくりおさらいしてみる。