スマートストアに導入された「AIカメラ」と「AIカカク」の狙い

 戦略店舗が6月にオープンした総合スーパー「イオンスタイル川口」(埼玉県川口市)だ。「DXを駆使した初の本格スマートストア」を標榜しており、その核が「AIカメラ」と「AIカカク」の2つ。

約150台のカメラで人流を把握

 AIカメラは約150台を設置。滞在人数を把握し、来店客がどの商品に頻繁に手を伸ばしたかなど商品棚の情報も自動で収集し「ヒートマップ」で可視化する。データを分析すれば、商品棚のレイアウトや品揃え自体の改善につなげることができる。専用の映像解析マシンも導入して逐次検証できるような体制を構築。接客にも活用する。

カメラで人流を把握し、接客などに活用する

 消費者の購買心理をくすぐるには割引など値付けの妙も重要だが、AIカカクは商品の販売実績や来店客数などのデータを人工知能(AI)が学習し、商品の適切な割引率などを割り出して従業員に指示するもの。

 特に威力を発揮しているのが惣菜売り場で、AIが店舗ごとの販売実績や天候などを学習し、合理的な価格を分析・提示する。その時の顧客が手を伸ばしやすい価格に設定するため、売価変更率・廃棄率ともに減少する効果が見込めるという。

 従業員の作業は、売場に残った商品数を入力するだけ。売り場の責任者の「経験とカン」に頼っていた時代と比べ、値引きの精度が上がるほか、食品の廃棄ロス削減につなげることも期待される。

 イオンリテールの山本実執行役員は「店舗で膨大なデータを収集・分析できるようになれば、マーケティングの在り方は大きく変わる」と話す。AIカメラは今年度中に約80店に広げ、約140店で導入しているAIは夏までに約350店に広げる。