「いろいろなことができる場」の提供から始めた

 ここからは、働き方改革に伴ってどのようにオフィス改革を行ってきたか、損保ジャパンの事例でお話しさせていただきます。

 損保ジャパンは、比較的早い段階から働き方改革に取り組んできました。こちらの資料は2018年度のものになりますが、当時からテレワークをはじめとする、多様で自由な働き方をするための設備、制度などの環境を整えてきました。

2018年度より設備面・制度面から働き方改革の環境整備を進めてきた

 一方、当時はそういった環境を活用する社員はまだまだ少数。そこで、ファシリティ・マネジメントを担当する部署として、働き方改革を進めるために「従来とは違う環境の中で仕事をする」ということにトライアルできる場所づくりを始めました。

 具体的には、本社の食堂の一部に、働くことも食事もできるようなワークプレイスをつくりました。例えば、当時はまだ珍しかったWi-Fiを飛ばしたり、執務エリアにあるようなデスク以外の机を用意してリラックスできる空間をつくったり、といった具合です。

 こうして、「自由な働き方とはどんなものなのか」「それは自分に合うのかどうか」、どんどん皆さんに体感していただきました。

 さらに、このワークプレイスを夕方からは「損保ジャPUB」という名前のパブにして、お酒を飲みながら参加できるイベントを開催したり、仲間同士で学び合ったり、語らい合ったりできる場にしました。

 他にも、「本当の働き方改革とは」という真面目な講義を行ったり、食堂の方にご協力いただいてワインスクールを開催したり、サッカーのワールドカップを大きなモニターで観戦したり・・・、このようにわれわれの働き方改革は、「働いたり、イベントを楽しんだり、学んだり、いろいろなことをできる場」を提供したことからスタートしました。

社内からプロジェクトメンバーを募り、進めた

 トライアルとして部分的にオフィス改革に取り組んでいくうちに、「本社全体をリニューアルしたいね」という話になりました。とはいえ、総務部門だけで企画を推し進めることはマンパワー的に難しく、チラシで本社全体からリニューアルプロジェクトに参画してくれるメンバーを募りました。

 実は、このチラシを配ったのはプロジェクト開始の1週間前。つまり、「通常業務もあるから仕事に負荷がかかるけど、上司を説得して来て!」というむちゃ振りだったんです(笑)。ところが15人の方が自主的に手を上げてくださいました。

 その15人の方を中心に、本プロジェクトの目的とそのために実施する企画を決めました。2カ月間議論を重ね、「従来の働き方にとらわれずに、イノベーションを起こしていける場。そのためのワークプレイス」を作っていこうと決め、最終的にプロジェクト名を「Project WISH」として、企画をまとめました。

 イノベーションが起こせる場(I:innovation)、選べる働き方、セレクションができる場(S:selection)、そしてホールディングスの全体方針でもある「安心・安全・健康でリラックスできる場」(H:healthy)。こういったものが備わったオフィス(W:workplace)を作っていこう、という方針のもと進めています。

 このプロジェクトが開始して、今年で3年目になります。これまでの取り組みを少しご紹介させてください。

 まずTeam S、セレクションということで選べる働き方。こちらIT企画部というシステムを統括する部門ですが、こちらの部署のワンフロアを全部リニューアルしました。議論の中で働く場として要望のあった、いろんな要素を詰め込んでいます。IT企画のメンバーとProject WISHのメンバーとでワークショップを何度も繰り返しながら、求める機能を全て洗い出し、詰め込んでいます。

 このリニューアルが効果的なものだったのかどうかをサンプルとして検証するために、使用前と使用後の様子を360度カメラで定点観測しました。また、このフロアの利用者全員にアンケートを行い、良かった点と悪かった点をヒアリングし、全社に展開できるようにしました。

 また、働き方改革の一環として「ペーパーレス化」も重要なポイントですが、A4の紙で積み上げるとこの本社ビルの2.5倍の高さの量を、この部署一つで削減しました。「ここまでペーパーレス化できますよ」という一つの指標にしています。

 続いてTeam IとH、イノベーションとヘルスについて。一つは本社の2階にあった昭和の香りが漂う喫茶店をリノベーションしました。イノベーションが起こせるように、いろいろな人と交わるような場所にしようということで「SOMPO Park Lounge」と名付けました。

昭和の香りが漂う喫茶店を「SOMPO Park Lounge」にリノベーションした。

 このラウンジはさまざまなイベントを開催する場としても使用するため、一般のWi-Fiと社内Wi-Fiを両方用意したり、大型プロジェクターやスクリーンを設置したりしています。

 冒頭で「一部をトライアル的にワークプレイスとして提供した」とお話しした食堂についても、全面的にリノベーションを行いました。食事以外の時間は、ワークプレイスとして打ち合わせや仕事ができるような場所に改良されています。また、ヘルスという観点で、緑を取り入れたり、食事の質について見直したりと、健康を支援できるような場を作り出しています。