相場が急変動!デジタル技術は金融市場の「リスク」なのか?

ポストコロナのIT・未来予想図(第39回)

ヒューモニー/2021.6.11

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デジタル技術は市場にとってリスクか?

 これらの事象を捉えて、ITやデジタル技術が金融市場に新たなリスクをもたらしているのではないか、との主張もなされています。もっとも、この点については慎重な考察が必要であり、さまざまな調査報告書も、明確な結論を出しているわけではありません。

2015年のflash rallyに関する調査報告書表紙

 確かに、HFTやアルゴリズム取引において、多くの市場参加者が類似のプログラムを用いる結果、特定のニュースに対し一時的に一方向の反応が急速に起こりやすくなっている可能性には留意する必要があります。

 また、HFTが取引の主流になってくると、一般の人々の市場参加が難しくなり、市場の多様性を高めるはずのIT技術が、むしろ市場の多様性を失わせてしまうリスクにも配慮すべきでしょう。

 とはいえ、情報技術革新は、基本的には取引の効率性や流動性を高めるものであるはずです。また、前出のflash crashやflash rallyのケースでも、株式や債券の価格はいったん大きく変動しましたが、その後は比較的速やかに戻っています。さらに、ゲームストップ株のケースについても、「ロビンフッダーのような個人投資家の参加によって市場の流動性が高まり、特定の巨大プレイヤーがカラ売りを仕掛けて利益を上げることが難しくなった」という見方もできます。これらを踏まえると、ITやデジタル技術の悪影響をことさらに強調すべきではないとも言えそうです。