相場が急変動!デジタル技術は金融市場の「リスク」なのか?

ポストコロナのIT・未来予想図(第39回)

ヒューモニー/2021.6.11

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flash crashとflash rally

 一方、ITの利用が、しばしば市場の急激な変動に結び付いているのではないかという声も聞かれます。

 もちろん、本源的価値を想定しにくいビットコインのような暗号資産の価格が急変し得ることは当然ですが、国際的な議論で問題になっているのは、企業価値や国の信用力などの「アンカー」があるはずの株式や国債について、近年、急激な価格変動が増えているように見えることです。

米国株価のボラティリティが急変動した回数 (出所)早瀬・小川「米国株式市場のボラティリティに関する一考察」日銀レビュー、(2019年)
(注)VIX 指数の前日差が過去 30 営業日における前日差の標準偏差の 3σ 以上となった日数。

 国際的な議論では、価格の急激な下落は“flash crash”、急激な上昇は“flash rally”と呼ばれています。

 このうち、flash crashの有名な事例は、2010年5月6日午後2時半過ぎに起こった、米国株価の急激な下落です。数分のうちに株価は6%も下落し、その後、急速に元に戻りました。その後もしばしば類似の事例が見られており、最近では先月(5月)4日に欧州の株式市場で起こったのではないかと報道されています。

2010年5月6日の米国ダウ株価

 逆の事例であるflash rallyでは、2014年10月15日午前10時前に起こった、米国債市場における急激な価格上昇が有名です。この時は数分のうちに、米国債利回りが0.2%近く低下し、その後、国債価格も利回りも急速に元に戻りました。

2014年10月15日の米国10年物国債利回り(2015年のflash rallyに関する調査報告書表紙)