動き出す「スーパーシティ」の現状と課題とは

サービスの相互運用性確保が大きな課題に

栗原 雅/2021.4.6

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料金支払、地域ポイント、本人確認などでフィンテックが関わる

――スーパーシティ構想に、フィンテックはどのように関わるのでしょうか。

 スーパーシティで展開されるサービスの主役はあくまでも医療、交通、観光などのテーマかもしれませんが、それぞれのサービスを提供するうえで、フィンテックはなくてはならない存在だと言えます。

 例えば、MaaSを利用すれば料金の支払いが生じますから、電子決済をはじめとする金融サービスが必要になります。また、観光地を手ぶらで観光するにはキャッシュレス決済の仕組みを整えなければなりません。このようにスーパーシティで想定されるさまざまなサービスにフィンテックが必要になってきます。

 地域ポイントや地域通貨の発行・運用といった点でも、フィンテックは期待されています。たとえば、MaaSの担い手として住民がボランティアなどの形で車両と運行サービスを提供した際、ボランティアポイントを発行するといった用途が指摘されることもあります。

 そのほか、フィンテックに関連する技術やサービスとして注目されているのが本人確認です。キャッシュレス決済サービスなどの本人確認に使われている技術やサービスを提供している「レグテック」事業者が、本人確認のアグリゲーター(仲介者)サービスを検討しています。本人確認のアグリゲーターは、特に個人に即したサービスの提供にあたっては、データ連携の基礎ともなるものであり、このような分野での活躍は十分に期待されます。

レグテック:Regulatory Technologyの略で、企業が各種の規制に対して効率よく対応するための技術活用

避けて通れないデータの相互運用性

――スーパーシティの実現に向けた課題としてはどのようなものがありますか。

 大きな課題のひとつがサービスのインターオペラビリティ(相互運用性)の確保です。政府のスーパーシティの検討会では、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じてデータを送受信するデータ連携基盤や、データを一元的に蓄積するのか分散させるかといったデータ管理の方式などについて議論が重ねられてきました。

 相互運用性が伴わなければ、スーパーシティの随所に非効率が生じるでしょう。例えば、法務局の土地の登記簿や公図と、道路や農地などの台帳の紐付けがすぐにできない場合があります。航空写真とこれらの図面や台帳を一致させることも容易な作業ではありません。そうすると、何かの仕事をする際に関係者が、紙の図面や台帳を集めて手作業で比較する、という非常に非効率的な状況が生まれます。スーパーシティにおいても相互運用性がいかに大切になってくるか、想像に難くないと思います。

 MaaSに代表される移動手段だけをみても、自治体内にとどまらない相互運用性の検討は避けられません。ある自治体に居住する住民の生活圏が、その自治体に閉じているとは限らないからです。日ごろ隣接する県や市の商業施設を利用している住民が多ければ、住民の生活圏は複数の自治体にまたがります。そうなれば、自治体間でMaaSの相互運用性が求められるでしょう。その一方で、自治体の間で持っている情報が連携されていないこともあります。これは市区町村の間だけではなく、これら自治体と都道府県や国との間でも起こっていることです。