不正引き出し対策で注目を集めるeKYCとは何か

写真撮影やICチップ読み取りなど多様な方法で本人確認

栗原 雅/2020.9.30

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 NTTドコモのキャッシュレス決済サービス「ドコモ口座」で起きた預金不正引き出しをきっかけに、セキュリティ対策の一つとして「eKYC(Electronic Know Your Customer)」の注目度が上がっている。eKYCは、デジタル技術を使いオンラインで本人確認を行うもので、利用者の利便性が高まるほか、事業者の確認作業の効率化や期間短縮などが期待できる。

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 本人確認は基本的に「身元確認」と「認証」という2つの要素から成る。

「身元確認」は名前や住所などの情報を確認することで、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、公共料金の領収書などを使うことが多い。「認証」は当人かどうかを確認することで、ID+パスワード、ICカードやスマートフォン、顔や指紋などの生体情報などを使うことが多い。

写真や動画で身元を確認する

 eKYCはこのような本人確認を対面せずに、オンラインで行うものだ。とくに、このうちの「身元確認」部分に注目が集まっている。日頃、銀行や証券会社の口座開設に限らず、クレジットカードなどの発行、会員登録、中古品の売買、不動産賃貸など数多くの場面で、身分証明書などの提示が必要になる。このような身元確認をオンラインで行う場合は、身分証明書の撮影、容貌の撮影、カードのICチップ読み取り、マイナンバーカードの個人認証などの手法を組み合わせることになる。

 eKYCによる身元確認の流れの一例として、金融機関がWebページで口座の新規開設を受け付けるケースを示す。

 申込者は運転免許証の表面と裏面、側面の厚みをスマホのカメラで撮る。加えて、申込者の顔の正面写真と、首を振る動作をしている動画を撮影して、アップロードする。

 金融機関側は、Webページに申込者が入力した氏名や住所が、本人確認書類の情報と一致しているかを確かめる。併せて、反社会的勢力に関するデータベースを照会して不適切利用の恐れがないかなどのリスクを評価し、一連の本人確認業務を完了する。

 従来は身分証明書の写しや申込書類を郵送でやり取りしていたため、10日間程度かかっていた口座の新規開設期間が、eKYCの導入で「翌日開設」にまで大幅短縮を果たしたケースもあるという。