金融業界は各種の規制への対応が生命線を握る。その対応に技術を有効活用しようというのが「RegTech(レグテック)」と「SupTech(スプテック)」だ。Fintech協会代表理事副会長を務めるクラウドリアルティ代表取締役の鬼頭武嗣氏に、世界で動き始めているレグテック/スプテックの動向と展望について聞いた。
――フィンテックの文脈で「レグテック」「スプテック」という言葉を聞くことがありますし、Fintech協会には「Regtech & Suptech」という分科会があります。あまりなじみがない用語ですが、それぞれどういうものなのでしょうか。
レグテックは「Regulatory Technology」の略で、企業が各種の規制に対して効率よく対応するための技術活用を指します。一方、スプテックは「Supervisory Technology」の略です。企業を監督する立場にある規制当局が、検査などの効率化を図るための技術活用を指します。
レグテックとスプテックは規制を受ける側と規制する側という表裏一体の関係にあり、互いに密接に関係します。このためFintech協会では「Regtech & Suptech」と一つの分科会にまとめて議論しています。
さまざまな業界に規制はあるので、それぞれにレグテック/スプテックがあり得ると思いますが、もともと金融分野で使われ出した概念ですし、今回は金融分野におけるレグテック(スプテック)をご説明しますね。
レグテックが話題にあがる機会が世界的に多くなっています。その理由の一つは、金融業界で規制の内容が頻繁に変更されるからでしょう。少し前に公表されたある調査結果によると、平均すれば世界中で7分に1回の頻度で何かしらの規制変更が発生していることになるそうです(https://ctmfile.com/story/with-a-new-regulatory-alert-issued-every-7-minutes-how-do-i-ensure-complian)。こうしているうちにも、すでに1回は規制が変わっている計算です。
これだけ頻繁に変更される規制にはしっかりキャッチアップする必要があります。正しく規制に対応ができなければ、金融機関は規制当局から行政処分を受けるかもしれません。金融業界にとって、規制への対応は大変重要なことなのです。