注目の「古くて新しい」保険、背景にデジタル活用

データの有効活用が保険の「パーソナライゼーション」を促す

栗原 雅/2020.7.16

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Fintech協会理事の畑加寿也氏(中央、2020年1月の記者発表会で)

 デジタルテクノロジーを使って新たな金融サービスを創出するフィンテックは、保険業界にどのような動きをもたらしているだろうか。Fintech協会の理事で保険分科会を担当するjustInCaseの畑加寿也代表取締役は、「P2P保険」と「パーソナライゼーション」が大きな注目点であると語る。

P2P保険は保険の“原点”とも言える

――フィンテックの観点で、保険業界ではいまどのような動きがありますか。

 加入者全員が対等な立場で助け合う「P2P(peer to peer)保険」が一つの注目点です。

 現在みなさんが生命保険や損害保険に持っているイメージは、保険会社があって、契約するときはその営業員や代理店とやり取りする、というものでしょう。しかし、保険はそもそも「村の住民のような顔見知り同士が互いに助け合う」ことが原点です。

 P2P保険の代表例が、中国アント・フィナンシャルサービスグループが電子決済サービス「アリペイ」の会員向けに提供している「相互宝(シャンフーバオ)」です(同社はアリババグループの金融関連会社で、アリペイも同社が提供している)。相互宝では、がんなどの診断を受けた加入者に支払う保険金と、アント・フィナンシャルの運営費用を、加入者全員で均等に負担します。誰のために、加入者一人あたりいくらの保険料を支払うのか、使途の透明性が高いのが特徴です。

 弊社(justInCase)が2020年1月に発表した「わりかん保険」もP2P保険と言えるもので、がんの診断を受けると一時金として80万円を受け取れます。保険金は加入者が全員で割り勘して負担します。もし保険金の請求がなければ、保険料は0円のままです。

「村の中での助け合い」とは違いますが、会ったこともない人同士が互いに助け合うという、保険の“原点”とも言えるようなこの仕組みは、デジタルテクノロジーを活用することによって初めて実現できたのです。