人と人が直接会って話すのが現状では難しい。しかしオンライン会議のような固定された画面同士の会話だけでは満たせない需要がある。このような背景から、開発元に問い合わせが相次いでいる技術が「アバター(分身)」だ。
写真1が、自走式アバターのnewme(ニューミー)である。タブレットサイズのディスプレイ、カメラ、マイク、スピーカーを搭載した柱状の装置で、高さは100~150cm、重さは約15kg。底部にモーター付き車輪があり、みずから移動できる。利用者がインターネット経由で操作することでnewmeが動き回り、その場にいる人と会話することができる。
newmeを開発したアバターイン(avatarin)は、ANAホールディングスが2020年4月に設立したスタートアップである。アバターを用いたサービスの展開にも乗り出している。
ANAホールディングスは以前から「アバター」関連の技術開発に力を入れていた。2018年3月には、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、ロボット技術、センサー、ハプティックス(触覚)技術などを駆使したアバター(分身)を通じて、遠く離れた場所に人が“瞬間移動”する未来を描いた「ANA AVATAR VISION」を発表している(以下の関連記事を参照)。
ANAがなぜアバター事業に乗り出すのか
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54222
店員と一緒に店内を歩き回る
利用者は、Webブラウザでアバターインのサービスサイトにログインすると、newmeを制御できるようになる。キーボードの上下の矢印キーで前進・後進、左右の矢印キーで左右へ回転させる。ディスプレイの向きを上下60度まで傾けられるので、ちょうど人が首を動かして周囲を見回すように、現地の様子を確認できる。目の前に人がいれば、テレビ電話のように会話できる。