動き出す「スーパーシティ」の現状と課題とは

サービスの相互運用性確保が大きな課題に

栗原 雅/2021.4.6

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Fintech協会の落合孝文常務理事(2021年3月15日に開催された財務省東北財務局主催の「金融機関向けオンラインセミナー」で)

 AI、IoT、自動運転技術など最先端のデジタルテクノロジーを活用して革新的な住民サービスを提供するのが「スーパーシティ」だ。Fintech協会常務理事を務める弁護士の落合孝文氏は、さまざまな業界でのビジネスへのアドバイスや制度構築などについて活動を行っており、政府や民間団体の委員などを数多く務めている。スーパーシティを巡る最新の動向と実現に向けた課題と、その中でフィンテックが果たす役割を落合孝文氏に聞いた。(JBpress)

戦略特区の指定公募が進行中

――2020年秋に国家戦略特別区域法が改正され、「スーパーシティ型国家戦略特区」の枠組みができました。2021年2月にFintech協会が開いたスーパーシティ関連のオンラインイベントは、150人近くが参加する盛況だったと聞きました。まず、スーパーシティを巡る動向の最新状況を教えてください。

 現在は、政府がスーパーシティ特区の指定を受ける自治体を公募しているところです。4月16日に公募を締め切った後、専門委員会や国家戦略特区諮問会議、政令での区域指定のための閣議を経て最終決定される、というのが大きな流れです。

 2020年12月25日の公募開始に先立ち、スーパーシティの構想を検討している自治体などから検討中のアイデアを政府が募集したところ、同月までに50件を超えるアイデアが寄せられたそうです。アイデアは「新規開発型」と「既存都市型」の2種類に大別でき、自治体の一部や全域を対象にした内容や、中山間地域のQOL(生活の質)向上を目指すものなど多岐にわたっています。

 内容をもう少し詳しく見てみると、内閣府が公表している構想イメージの中でも通院対策をはじめとして、医療をテーマにしたアイデアが複数公表されています。たとえば、医療や新たな交通手段「MaaS(Mobility as a Service)」を連携させて、運転免許を返納した後期高齢者の通院を支援するといったものです。そのほか、自動走行やキャッシュレスにMaaSを組み合わせての活用を想定した観光関連のアイデアや、エネルギーの地産地消や防災拠点としての機能整備を視野に入れたアイデアなどがあがっています。

 最終的に指定を受ける自治体の数は限られますが、その自治体は、今後スーパーシティ実現の旗振り役を担っていくことになるでしょう。先進的な取り組みに挑戦している自治体の提案に基づいて、規制改革がされることが予定されています。私見ですが、各省庁が主導して推進するさまざまな実証のフィールドに選ばれたりする可能性も高まるのではないかとが見込んでいます。