目標を設定する上で考えておくべき事項

■グループ単位で管理する
 目標を決めることは、企業(グループ)におけるサステナビリティ分野の重要課題を決めることだ。取り組みを持続可能にするには、社会への貢献だけでなく、結果として事業への貢献にも結び付く活動にすることが重要なポイントである。ボランタリーな社会貢献活動だけでは長続きしない。

 そして、取り組みの対象範囲は、できれば連結子会社を含めたグループまで広げるのがよい。統合報告書の発行、SBT(Science Based Target:科学と整合した中長期の二酸化炭素排出目標の認定)などがグループ単位であることから分かるように、昨今の世の中の潮流はグループ単位の管理である。

■SDGsの目標番号ありきはダメ
 目標の数や広さも考える必要がある。事業そのものがSDGs目標に直結している企業、例えば医薬品メーカーであれば目標3「すべての人に健康と福祉を」、食品メーカーであれば目標2「飢餓をゼロに」、教育機関であれば目標4「質の高い教育をみんなに」などがあるが、それだけの目標ではあまりに寂しい。こうした企業でも日本政府がカーボンニュートラル宣言をして脱炭素の動きが活発化する中、省エネルギーや再生可能エネルギーに対して何も取り組まないわけにはいかないだろう。

 また働き方改革や女性の活躍なども無視するわけにはいかない。世の中の動向やステークホルダーの意識変化などを踏まえて、まずは広範囲に網を張ってそこから絞り込むというプロセスが必要だ。

 SDGsの取り組み目標を考える流れとしては、初めからSDGsの目標番号ありきでなく、サステナビリティの対象である環境・社会・経済を広く捉えて検討し、番号とのひも付けは最後に行えばよい。