しかし、ブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT)などのデジタル技術により、投資したお金の使われ方を、「スマートコントラクト」(契約の自動化)などを通じて予め指定したり、そのリターンを投資家に紐付けることが可能になっています。また、投資や寄付のリターンについても、利息や配当の代わりに、「特定のお店で使えるプリペイド残高」や「特典」「利用権」などの形で還元することも可能となります。

ブロックチェーンを使ったクリーンエネルギーの取引計画
出所:United Nations Framework Convention on Climate Change

 さらに、株主としての投票を全てデジタルベースで行うことで、わざわざ物理的な株主総会を開く必要がなくなり、より高い頻度で投資の意思決定に関われる可能性も拡がっています。

分散型金融(DeFi)、ESG・SDGs

 このような技術革新を背景に、ブロックチェーンや分散型台帳技術を用いて、これまでよりも広範な資産や権利を、取引所無しでも取引できるようにする「分散型金融」(DeFi)の取り組みが活発化しています。

 具体的には、セキュリティトークン(Security Token)と呼ばれる、ブロックチェーンなどを利用し、さまざまな資産や権利を対象にできる新種の証券を創出することが考えられています。セキュリティトークンは、お金の使途などを管理したり、利子や配当の支払いを自動的に行うプログラムを組み込める「プログラマブル・セキュリティ」とすることが想定されています。そして、このようなセキュリティトークンを取引する「分散型取引市場」(DEX)を構築することも検討されています。

 また、近年、環境問題や地球の持続可能性を巡る世界的な関心の高まりを背景に、ESGやSDGsを重視する投資が世界的に活発化しています。

SDGs債の発行額推移
出所:Bloomberg