競争力ある生産技術部門とは?生産技術の未来

 生産技術部門で最も重要だといえる<生産技術開発>について考えていきたい。そこには“生産技術者の未来”を描くヒントがある。

◆生産技術部門として「生産技術開発」は重要

 社内認知度が高い生産技術部門には「コンカレント・エンジニアリング(CE)」「シミュレーションやIT・バーチャル技術」「生産技術開発(工法・設備)に積極的な取り組み」という「新三種の神器」がある。

 この中でも特に寄与度が高いのは、「生産技術開発(工法・設備)に積極的な取り組み」であろう。これは工法・設備を買ったままではなく、さらに工夫をしていくこと、と捉えてもよい。

 このような「生産技術開発(工法・設備)に積極的な取り組み」をする会社は生産設備の内製化比率が高く、知的財産戦略を重要視している。それらの会社は、自らの技術的競争力が高いと考えており、その生産技術力を上げるため、社員に挑戦させて育成しているという会社だといえる。

◆どの生産技術を開発するか?

 生産技術開発を議論する際には「どの生産技術を開発するのか」という対象決めが大切である。生産技術開発とは、生産技術部門の独り善がりで開発対象を決めるものではない。製品技術開発と相関を持ちながら、いわば戦略的に開発対象設定し、会社としての技術戦略の一つになる必要がある。

 生産技術開発では、製品技術と生産技術の要素のコアの部分を対象にする。製品技術の要素におけるコア技術とは、その製品の商品性や性能、そして競争力を決める部分(完成品の一部分・部品・モジュール・デバイス)である。この製品コア技術を選定した上で、それを生産する技術として生産技術開発を行う。その生産技術開発においても、コア製品のコスト・品質や競争力を決める部分や、模倣を防止する際にキーとなる工程に絞り込むことが重要である。

 製品および生産技術のコア技術を自社として認識をしていなかったり、自社としてはコア技術でありレベルが高いと思っているものが実は汎用的だったりする例は意外とある。

 いずれにしても、製造業のものづくりにおいて競争力を上げるには、コア技術づくりが大切になってくる。このコアに集中し技術をつくり込み、長期にわたり技術的に競争優位とするためには、知的財産として守ることが重要となる。この守ることに無頓着な生産技術部門も数多くみられる。