スマートファクトリーの実現には3つのExcellentが重要

 次世代工場、あるいはスマートファクトリーで何を実現すべきか、目指す状態は各社が置かれた環境によってさまざまである。しかし、その根底にあるものは3つ目のアプローチ「価値創造領域」による、圧倒的QCDEレベルの実現、あるいは市場への圧倒的付加価値提供の実現であり、この宿命的課題を一歩解決に導く手段が、昨今のIoT技術革新である。

 それぞれのDX化における経営課題から導かれる目指すべきスマートファクトリーの実現には、デジタル化の追求ばかりではなく、「フィジカル」「オペレーション」「マネジメント」の3つの要素全てがエクセレント(良い状態)になっていることが重要である。

「フィジカル」とは生産システムの土台となる個々の設備の能力と生産方式の設計であり、「オペレーション」とはこの理論スペックを最大限駆使し、市場要求に応えるための業務プロセスの設計のことである。基本となるのは、フィジカルとオペレーションの両輪で設計される生産システムをエクセレント(良い状態)にすることである。

 そして「マネジメント」では、この2つの要素から形成される生産システムをモニタリングし、リソースのばらつきを最小限に抑える日常管理に加え、重点課題の”見える化”をする。さらにこの生産システムの高度化を常に促す管理基盤を構築する。

 この3つの要素のエクセレントをDXの活用で追求していくこと、これがスマートファクトリー推進のための非常に重要なデザインアプローチである。

◆“3つの要素”に5段階の成熟レベルを設定する

 工場で3つのエクセレントを実現するには、この3つの要素に5段階の成熟度レベルを設定し、現状の立ち位置と目指す姿をロードマップに展開していくべきである。