サプライチェーン強化の考え方と要点
近年、サプライヤーマネジメントの重要性が取り上げられることが増えている。サプライヤーマネジメントとは、自社の調達戦略上、どのようなサプライヤーとどのような関係性を構築していくかを具体化する取り組みを指す。ここでは前述の対応策を踏まえ、サプライチェーン強化を狙いとしたサプライヤーマネジメントの考え方を解説する。
サプライヤーマネジメントの狙いは、対象とするカテゴリーの中期的な競争力レベルアップ(QCDTME+R)※の目標を明確化し、その実現に向けた道筋を具体化することである。
※QCDTME+R(Q:品質、C:コスト、D:納期、T:技術力、M:マネジメント、E:環境、R:リスクマネジメント)
縦軸がカテゴリーの競争力レベル、横軸は時間軸を示し、どの時点でどのような水準にカテゴリー競争力を引き上げていくかを表している。このような形で目標とする水準を決めたら、その実現に向けてどのような施策が取れるかを検討して具体化していく。
図では、第一段階では競争重視で3社競合をさせ、第二段階では協業重視で3社を2社に集約した上で、協働改善などを通じてさらに競争力レベルを引き上げていくことを施策方針として例示している。
また、サプライヤーマネジメントはカテゴリー単位に取り組むことが重要である。カテゴリーとは調達品目の分類を指す。一般的には、原材料系品目は材質別に、加工品系品目は業種別に分類される。
例えば、全カテゴリー横断の総サプライヤー数を見てサプライヤー集約という取り組みを進めても、あまり具体的な成果にはつながらないことが多い。個々のカテゴリーでは、サプライヤー集約が競争力強化につながるかもしれないが、また別のカテゴリーでは競争環境を強化するためにサプライヤーを増やしていくことが重要になるかもしれないからだ。