安定供給確保への対応策
東日本大震災やタイ洪水の経験、さらに近年、多発する自然災害の状況を受けて、調達BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)を策定していた企業は多い。しかし、今回のようなグローバルパンデミック、ロックダウンまでを想定していた企業はほとんどなかったと思われる。
こうした状況でも安定供給を確保するための対応策のカギは、次の3点が挙げられる。
(1)サプライチェーン把握によるリスク評価
直接取引のある1次サプライヤーだけでなく、素材段階までさかのぼるサプライチェーンを把握することが、サプライリスク評価・把握のための第一歩である。5~6次といった深いサプライチェーンまでの把握には苦労している企業が多いのが現実だが、時間をかけても着実に把握を推進している企業はある。
(2)調達複線化、在庫保有化によるリスク対応
供給リスク低減には、在庫保有と、調達複線化(複数社からの調達や、同一サプライヤー内で複数の拠点生産〕が対応策の基本である。在庫保有は、自社保有だけでなく、サプライチェーンを通じて、供給確保ができる在庫が保有されているかの観点が重要である。この観点での実態確認のためにも、(1)サプライチェーン把握は重要である。
(3)サプライヤーとの厚い信頼関係によるスムーズな情報収集
サプライヤーとのスムーズな連携には、普段からの厚い信頼関係構築が重要である。今回のコロナ対応においても、サプライヤーに対してその経営へ与える影響度の確認で苦労をされている事例も聞いている。リスク発生時だけ、急に連絡を密にしても確実な情報提供が受けられるわけではない。
このように振り返ってみると、安定供給確保への対応策はいずれも一朝一夕に対応できるものではなく、平常時からの事前準備が重要といえる。