厚生年金基金は私的年金のひとつで、企業や業種団体などが設立・管理・運営している年金基金のことです。国が管理する厚生年金の一部を代行しつつ、企業が年金保険料を上乗せするなどして年金を手厚いものにするねらいがあります。しかし、昨今では運用難が続いて解散する基金が増加。2019年9月1日現在では8基金しか残っていません(企業年金連合会調べ)。
名称に「基金」が付くものは、個人の意思によって“上乗せできる年金”と理解しておきましょう。
Q:NISAやつみたてNISAは年金と関係がある?
NISA(少額投資非課税制度)とつみたてNISAは、個人投資家向けの優遇制度のことです。国が定める税制のひとつで、公的年金ではありません。しかし、少額からの長期間にわたる投資が優遇されているので、個人年金づくりに非常に有効といえます。実質的にiDeCoと同様な機能と理解していいでしょう。いずれもぜひ活用したい仕組みです。
Q:少子高齢化がなぜ年金不安の要因に?
日本の公的年金制度が「賦課(ふか)方式」と呼ばれる、いわば仕送り制度を採用しているからです。いま現役世代が払っている年金保険料は、自分のために積み立てているのではありません。現在の年金受給者への年金として使われています。現役世代が現在の高齢者へ仕送りしているイメージです。
将来、少子高齢化が進むとどうなるでしょうか。お金を送る現役世代が減って、年金を受け取る高齢者が増えます。このまま進めば、現役世代が負担する年金保険料を増やすか、高齢者が受け取る年金額を減らすことが必要になります。公的年金の収入は保険料だけでなく税金も投入されているので、理論上は日本全体での負担増もあり得ます。少子高齢化によって、負担と受給のバランス悪化が懸念されることが年金不安の声を高めているわけです。
Q:2019年の財政検証で話題になった「所得代替率」とは?
いわば年金の健康診断である財政検証。そこで指摘されたのが「所得代替率」の問題です。所得代替率とは、夫婦2人の年金額がそのときの現役世代の手取り収入に対して、どのくらいの割合かを示す値です。2019年の財政検証では61.7%でした。現在の法律では、所得代替率50%以上を確保することになっていますが、50%を下回ることが予想されれば、制度の見直しが余儀なくされます。