――新規事業創出の取り組みの成果をより大きなもの、持続的なものにするため、今後どのような取り組みが必要だと考えていますか。(松岡)

真島 やはり社内の風土変革、意識変革が何よりも大事だと思います。何が行われているかを従業員に分かりやすく伝えるため、社内のイントラでも目立つ場所で継続的に発信しています。一部の人がやることではなく、広く社員に関心を持ってもらいたいと思います。

 新規事業の取り組みは、全事業を対象に大きな枠組みで進めるよりも、小さく始め、全体を見渡せる立場の事務局が社内関連各部署に橋渡しをしながら進めるのが良いと思っています。

 例えば、コンビニと連携した買い物難民に対応するサービスなどは、既存事業から出てくるものではありません。また、既存事業部での新しい取り組みはどうしても小粒なものになりがちであり、時間がかかってしまいがちです。これからもDXビジネス事業部が社外とオープンかつ軽いフットワークで共創することで、関連する既存事業部にきっかけを提供することができると思います。

 方向性は先に述べた通りですが、新しい価値提供への挑戦は今まで培ってきた顧客接点があってこそです。現状では満たせていない顧客からの期待に応えられるよう、これからも新しい価値創出に向き合っていければと思います。

インタビューを終えて。左から、Creww矢野、真島氏、ADL松岡。

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 次稿より上記を踏まえた考察を行うが、今後頻出するキーワードを事前に定義したい。「イノベーション」の定義は異なるものの、新結合による新しい価値創出を指し、目的と手段の両方を含めた、変革そのものを意味する。また、「オープンイノベーション」とは、イノベーションの中でも社外との共創を志向するものとする。「共創」はオープンイノベーションと同義とする。「アクセラレータープログラム」は、社外のスタートアップとの共創を目指すプログラムを指し、それはあくまで手段との認識だ。

 なお、JVCケンウッド、ADL、Crewwの本稿当事者がパネラーとして参加するイベントを、10月4日(金)の夜に実施する。本記事の内容に興味を持たれた方は、ぜひ参加されたい。(イベントページ:https://peatix.com/event/1327440/view

(第2回へ続く)