高度なデータガバナンスを実現するのがCDOの役割

三菱UFJ FGのCDOが語る「データ管理」の理念

CDO Club Japan/2019.9.10

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――現在のデジタル化の流れの中で、安田さんのようなChief Data Officerの役割はどのように考えていらっしゃいますか。

 銀行は今デジタル化の洗礼を受けて、ディスラプターの挑戦を受ける立場にあります。これまでのビジネスモデルが変わっていく中で、どうしていくのかは大きな課題です。金融機関が長年培ってきた“信頼”や“品質”といったものに解を求めていくことになるのではないかと思います。

 仮想通貨(暗号資産)による送金なども話題になっていますが、銀行は送金のインフラをすでに多大なコストをかけて作っていますし、マネーロンダリング対策には膨大な労力をかけています。そのようなノウハウはいろいろな点で生かせるはずです。

 それを生かした新しいビジネスモデルなどは、スタートアップ企業とうまく組み合わせることによって、いろいろと提供できるのではないでしょうか。そのようなデジタルトランスフォーメーションに関しては、Chief Digital Transformation Officer(CDTO)という役職とデジタル企画部という部署が別にあります。われわれは、そういう動きの役に立つように、正しいデータを使いやすいように提供することによって、デジタルトランスフォーメーションに貢献するということです。縁の下の力持ちのような存在ですね。

 CDOや経営情報統括部の活動は、なかなか評価が難しいところかもしれません。私も部員も社内から業務内容を聞かれたときに説明しづらいことが多いです。現在の組織形態が唯一の解でもないでしょう。ただ、誰かがやらなければならない重要な仕事であることは間違いありません。

「データを扱う人材」は大きく3種類に分かれます。一つはデータサイエンティストのような人です。もう一つはビジネスサイドの人で、このデータが必要だと言ったり、データサイエンティストの結果を見て解釈したりします。そして3つめが、まさしくわれわれの部署のファンクションです。ビジネスサイドのユーザーが「こういうデータが必要」と言ったときに、そのデータはどういう定義か、どこにあるか、利用に制限はないか、そういう“通訳”をやる人が必要なのです。たとえば「預金高の推移が見たい」と言われても、どのお客さんが対象なのか、いつの時点の残高なのか、などをはっきりさせないとデータが得られませんから。

 1番目のデータサイエンティストは中途採用したり、社外とコラボレーションしたりしてもいいかもしれませんが、2番目、3番目の人材は社内で育てていかないといけません。いくらきちんとしたデータが用意されても上手に使わなければ宝の持ち腐れになってしまいます。また、データはいろいろな業務活動の結果を反映したものとも言えるので、BIツールなどを自分で使って、データのクセや勘所を見つけていくようなことも必要だと思います。

 社内におけるデータを扱うスキルをいかに上げていくか。これが現在の大きな課題であり、さまざまな部署にもこの問題意識を投げかけています。