高度なデータガバナンスを実現するのがCDOの役割

三菱UFJ FGのCDOが語る「データ管理」の理念

CDO Club Japan/2019.9.10

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――CDOの仕事として、とくに大変だと思われるのはどういうところでしょうか。

 理想と現実の間、あるいはさまざまなトレードオフがある中で、どこで折り合いを付けるかということです。広いカバレッジでタイムリーにしかも高精度でデータを集めたいと思っても、現状では非常に大きいレガシーのシステムインフラがあり、さまざまな制約があるので思い通りのものができるとは限りません。新しく作る方が安くできる可能性はありますが、二重開発にならないかという懸念もあります。

 さらにデータの世界は投資対効果が言いづらいところがあります。直接「いくら利益が出る」というものではありません。こういうリスクが減るとか、規制に対応しないことによって失うものがあるとか、そういうことをいろいろなステークホルダーに説明して、理解を得ていく必要があります。

作っておかないと将来後悔する

「あったほうがいい」というレベルのものでも、システムを構築するとなるとやらなければいけないことは多いしコストもかかる、となるとなかなか進みません。しかしどこかの時点で作っておかないと、5年先、10年先に後悔することになりかねません。そうならないよう社内のさまざまな人と議論をしながら優先度を調整していくことになります。

 そのような試みの一つが、去年(2018年)12月から開発を始めた「ビッグデータ基盤」です。これまでの構造化されたデータだけではなく、お客さまとの対話ログや画像のような非構造データも対象として、クラウドを利用して蓄積します。ストレージコストの問題で保存期間が短かったデータも長期で保存できるようになります。従来、情報システムはまずニーズがあって、それに沿って作るものでした。しかしビッグデータ基盤は、「ともかくデータを入れてみんなでニーズを探そう」というような新しいものなのです。

 蓄積したデータはデータサイエンティストなどが分析する基盤として利用するだけではなく、BI(Business Intelligence)ツールなどを使ってさまざまな人が欲しいデータを利用できるようにします。現在開発やテストを行っていて、今年12月にリリースし、データの蓄積を開始する予定です。

 データの蓄積には、CDOのミッションの一つであるデータガバナンスが生かせます。ゴミの集まりにならないように、われわれの経営情報統括室がデータガバナンスの観点からルールを制定します。具体的には、データ管理者とその責任範囲、データ格納場所、アクセス管理、メタデータの管理などをルール化しています。インフラを自分たちがマネージすることによって、ガバナンスの利便性も上げていくということもCDOとしては意図しています。